災害時は上下水道がストップし、飲み水や手洗い水などはもちろん、トイレも使用不可能に陥ります。飲み水などを備蓄する意識は多くの方がお持ちですが、トイレ対策は忘れがちで災害直後の困ったことランキング第一位の定番な社会問題です。

(参考)熊本地震の避難所で不便だったこと第1位は「トイレ」
「学校のトイレ研究会」が避難施設 6カ所、101人にアンケート調査

災害時のトイレ対策として、簡易トイレ、携帯トイレ、仮設トイレなど様々ありますが、中でも「簡易トイレ」と「携帯トイレ」は似た響きがありますので混同しがちですが、まったく別のものです。

今回はその違いとそれぞれの役割について解説していきます。

簡易トイレと携帯トイレの違いまとめ

最も明快な違いは、便座があるかないかになります。簡易トイレは便座がありますが、携帯トイレはありません。

簡易トイレについて

簡易トイレは、室内に設置できる持ち運び可能な、便座のある小型のトイレとなります。今では災害用に限らず、手すりが付いた介護用のポータブルトイレなども一般的に利用されるようなりました。

簡易的な便器・便座がありますので、し尿を貯める部分がセットになっており、し尿は凝固剤を用いたり、乾燥させて焼却するなどの方法で処理します。室内でなくても、簡易トイレの周囲に仕切りを設ければ、アウトドアでも利用可能です。

車載用の簡易トイレ


車載用の簡易トイレ

プラダン製トイレ

プラダン製トイレ

簡易トイレには、プラスチック製のものと紙製のものがあります。プラスチック製のものは耐久性が高く、水分・湿気にも強いのでアウトドアなど何度も利用しそうな場合や、行政や自治会などの防災備蓄におすすめです。紙製(段ボール)のものは、安価で使い捨てにできるため、とりあえずの緊急時の備えに向いています。不特定多数が利用する場合は、使い捨てタイプを用いることが望まれます。 また、簡易トイレは自作することもできます。緊急時にトイレの備えがない場合などは、段ボールとビニール袋とガムテープがあれば、段ボールで枠をつくり便座の代わりとし、ビニール袋を用いてその中に用を足します。しかし、凝固剤はどうしても作ることができないため、やはりしっかりと丈夫なものを購入しておくことがおすすめです。

凝固剤には、粉末タイプとシートタイプがあります。粉末タイプのほうが、ゴミの量は少なくなり、シートには、紙オムツと同じような材料が用いられています。ただし、シートタイプはトイレする前に1枚入れ、トイレ後に1枚被せる必要があったり、吸水力が弱かったり高価であったりとデメリットがいくつかあるため、現在は粉末タイプが一般的で無難でしょう。

携帯トイレについて

携帯トイレは便座がなく、吸水シートや凝固剤で水分を安定させる便袋タイプのものです。凝固剤と袋がセットになっており、車の中でも、アウトドアでも利用できますし、災害時に水が出ないときに洋式便器につけて使用することもできます。携帯トイレは便座がないため、簡易トイレよりコンパクトで安価となり、持ち運びしやすく、また大量に用意しておくことも可能となります。

携帯トイレ1回分

携帯トイレ1回分

携帯トイレ2回分

携帯トイレ2回分

組み立てが必要ないので、誰でも簡単に利用できるというメリットもあります。便座がなくても利用できるというのが大きな特徴となります。 2回分の袋と凝固剤がセットになった商品も販売されており、渋滞が予想される中、車で出かける際などに便利に使えます。固まるまでの時間もかなりスピーディーで以前よりもずいぶん使い勝手が良く、しかも安く入手できるようになっています。今や、車で長距離移動するときの必需品とも言えそうです。

災害のために携帯トイレまたは簡易トイレを備蓄しましょう

簡易トイレも携帯トイレも、アウトドアのレジャーで便利に使えるのはもちろんですが、災害時にも非常に役立ちます。

水道が復旧するまでの期間に

日本は地震の活動期に入りましたから、いつどこで大災害になるかわからない状況です。大災害時には、水道も電気も使えなくなる可能性が高く、水道と電気の復旧には、長期間を要することが少なくありません。復旧には震度6以上では2~3週間はトイレが使えない可能性も考慮しておくとよいでしょう。

(参考)東京大学の東日本大震災上下水道シンポジウム 2012.3.27 仙台

水道が使えない場合は井戸水や給水車に頼ることとなりますが、飲み水が優先であるため、トイレに使うことはまず不可能です。水道が復旧するまでの間は、簡易トイレや携帯トイレを使うこととなるでしょう。 その場合は、し尿が入った袋を保管する方法を考えなくてはなりません。アウトドアのレジャーでは、それほど使用しませんから、保管するのはごく短期間で済みますし、すぐ処分もできます。

安価で粗悪な簡易トイレ、携帯トイレは避けましょう

しかし災害時には、特に避難所などでは膨大な数となります。それを保管するには、袋が濃い色で透けないことも大事ですし、破けない丈夫な材質であることも求められます。段ボール箱に入れれば、積み上げて保管しやすくなりますが、破けてしまってはそれも困難になります。市販されている携帯トイレは価格や品質も大きなばらつきがあります。しっかりとした袋や箱を使用しているメーカーをご自身で確かめる必要があります。

ご家庭なら「携帯トイレ」、大人数なら「簡易トイレ」

簡易トイレと携帯トイレの違いは、便座の有無であり、用途に合わせて選択することとなります。災害時の備えでは、ご家庭用なら携帯トイレのほうが非常に安いため、用意しやすいでしょう。おすすめとしては、安価な携帯トイレを購入する分、備える数量は多めに購入しておくことをお勧めします。「一人3日分を」「1日5回分を」と言われることも多いですが、健康な人でも1日5回以上トイレに行くでしょうし、何より体調の崩しやすい被災時はトイレの回数も増える可能性があります。また、水道も3日では復旧しない傾向があるため、1日10回分×10日間くらいは備えておくとよいでしょう。

町内などで備えておくなら、簡易トイレが望まれます。和式トイレに慣れていないお子さんから、足腰の悪い高齢者の方まで、様々な状態の人がトイレを利用することを考慮し、なるべく便座も備えておくとよいでしょう。