先日の台風15号による停電後、電力が復旧したエリアで火災が発生し、住宅を含む複数の建物が全焼したとのニュースが出ています。これらは台風(雨や風)により建物内の電気配線や電化製品が破損するまたは水に触れる事で漏電等が発生し火災に至ったと報じられています。

このような火災は「通電火災」と呼ばれており、日本では1995年1月の阪神・淡路大震災で多くの通電火災の被害が発生したことが知られています。下記のWebサイトには「神戸市内で157件の建物火災が発生しましたが、原因が特定できた55件のうち35件が電気火災と最も多く、そのうち33件が通電火災でした。」との記載があり、地震発生後の脅威として通電火災が注目されています。

(参考)神戸市:通電火災ってご存知?

通電火災には複数の原因がある、ということで今回は通電火災についてご紹介したいと思います。

通電火災とは

通電火災は地震や台風、大雨、洪水、高潮などにより、「停電が発生する」+「配線や機器になんらかのダメージや異常が起こる」ことにより、電力復旧のタイミングで発生する火災です。一例ですが、

  • 電気配線や配電盤等が破損、水に濡れる事により漏電する
  • 電化製品が破損、水に濡れる事により漏電する(異常発熱も含む)
  • 電化製品(主に熱を発する機器)に可燃物が接触し火元となる

といったケースが報告されています。

そもそもブレーカーや電化製品には漏電防止や異常発熱防止の機能が付いている場合が多いのですが、あくまで通常の使用時を想定しているとお考えください。冒頭で紹介しました台風や地震以外にも、災害が発生した後に電力復旧のタイミングで火災が発生している事から、電気に関わるあらゆる配線・機器は通電火災の恐れがある、と考えるべきでしょう。

下記のWebサイトでは2018年の台風21号による通電火災の事例が紹介されています。

(参考)大阪市福島消防署:台風時にも!!通電火災に注意してください!

通電火災を防ぐポイント

通電火災を防ぐためには、停電時の対応と電力復旧時の対応がポイントになります。

停電時の対応

  • 避難を含めて家を離れる際はブレーカーを落とす。
  • 就寝時は念のためにブレーカーを落とす。
  • 停電がしばらく続く見込みの場合はブレーカーを落とす。

電力復旧時の対応

  • ブレーカーを戻す前に電化製品をコンセントから外す。
  • ブレーカーを戻す際は必ず人が立ち会い、戻したあと異常(発熱、臭い、異音等)があればすぐにブレーカーを落とす。(電気工事会社に点検・修理を依頼する)
  • ブレーカーを戻したあと電化製品を接続する際は一度に接続せず、電化製品ごとに接続し安全を確認する。(異常があれば電化製品をすぐに外す)

基本的な事ですが、雨漏りや浸水などで水に濡れた電化製品も使用しない事が重要です。ここまでは家庭や会社の建物内での火災発生を想定しておりますが、通電火災では建物外での発生もありえます。屋外で垂れ下がった電線や切れた電線は「感電の恐れがあるため近づかないで」と呼びかけられていましたが、電線から火花が散る、周囲の金属や可燃物に接触する、などにより火災が発生する恐れもあります。危険な電線を発見した際は速やかに電力会社に連絡してください。これらの火災や感電は建物内のブレーカーを落とす事では防ぐことが出来ないということを知っておいてください。

事前にできる対策

事前にできる対策ですが、地震に限定すると「感震ブレーカー」も有効です。強い揺れによって自動的にブレーカーを落としてくれるため、家庭で有効なだけでなく、倉庫や作業場など無人の時間帯が想定される施設などにもお勧めします。既設のブレーカーに後付けで設置できるタイプもありますので、ぜひご検討ください。通電火災はこれまで地震が原因の火災、と思われていましたが、今回の千葉の事例を見ますと少し認識を改める必要があります。

今後は「停電後に起こりうる火災」として認識し、家庭や会社、学校などで停電時の対応と電力復旧時の対応の両面を準備しておくことをお勧めします。なお、私の個人的な想いから、あえて「電力復旧後に起こりうる火災」という表現を避けています。(停電時のブレーカー操作が想定されるので、電力復旧時の対応だけだと誤解されることを予防するため)