コロナ時の避難所3密問題について考えよう

新型コロナウィルス(以下、新型コロナ)の影響がまだまだ続く中、梅雨や台風シーズンが近づいてきました。防災の観点から言いますと、避難者が集中することで新型コロナの感染が広がってしまうのでは、と心配になっています。

※避難所:自治体によって名称が異なりますが、ここでは「災害等から避難し安全を確保するための建物」を指します。

コロナ流行より前から避難所不足は問題だった

避難所は1人でも多くの避難者を受け入れ、安全を確保することを目的としていますが、大半が防災目的ではない施設(学校や公共施設等)に開設されるため、収容人数やスペースが不足しがちであることはここ数年で特に注目されています。

さらに感染症対策の備蓄が不足しているといった報告もちらほら。今回は避難所へ避難すべきか、避難する想定での備え、避難しない想定での備えを複数回に分けてご紹介します。

防災の分野でも避難所での衛生管理や感染症予防について、物資の備蓄や運営手順の準備を進めてはいましたが、今回の新型コロナはさらに高いレベルの対策が求められる状態になっていると認識が広がっています。

すでに一部の自治体や研究機関等では、避難所での新型コロナ感染を防ぐための対策に動き始めています。有用な情報の例としまして、下記のような情報が公開されています。

個人や家族の備えだけでなく、避難所運営にも役立つ情報が報告されています。
また、今後新たな情報が公開される可能性もあるため、上記以外の情報もぜひチェックしてください。

避難所の三密問題

避難所での新型コロナ対策の基本は『三密』を避ける+衛生管理を徹底することですが、三密とくに密集を避けるには物理的と言いますか、空間的な対策が必要です。すでに避難者を収容しきれないという事例が新型コロナ以前から発生しております。

避難所についておさらいしますと、そもそも避難所に指定されている施設や建物の大半は住民や通勤者、通学者、観光客等を全て収容できるように設計されてはいません。基本の考え方として、避難所への避難が必要な人は『自宅や職場の建物に留まることが危険な人』となっています。

さらに、避難所の収容人数や設備に限りがあるため、避難者の属性(地元の住民、勤務者や学生、ケアが必要な人等)に合わせて避難所が分けて設定されることもあります。

避難所での三密を避けるため、皆さんに避難が必要か否かの検討を事前に行っていただくことをお勧めします。

①まずやるべきこと

ハザードマップのチェック下記のポータルサイトや自治体のWebサイトからハザードマップを手に入れます。
(国土交通省:ハザードマップポータルサイト)

ハザードマップ上で自宅や職場等が危険なエリア(浸水想定区域や土砂災害警戒区域等)に含まれていないかを確認します。もし含まれており、その場所にとどまることが危険な想定が出ている場合は、避難所への避難を想定してください。(自宅や職場のすぐ近隣が危険なエリアの場合は、想定を超えた際に避難が必要となるとご理解ください。)

危険なエリアに含まれない場合は『在宅避難』を選択肢の一つとして検討してください。

すでに一部の自治体では避難所運営マニュアル等に新型コロナ対応を組み込むための準備が進められています。
(大阪府 危機管理室災害対策課:大阪府避難所運営マニュアル作成指針)

② 避難が必要な場合

ハザードマップ上で危険な場所の場合、または近隣に危険な場所があり影響を受ける恐れがある場合は、避難ルートの安全を確認しつつ避難所へ向かいます。(避難ルートが危険な場合は別ルートまたは③の在宅避難を選択します)

避難の際に難しいと言われているのが『避難のタイミング』ですがレベルの判定や意味など詳しい情報は下記をご確認ください。

そして補足として避難情報の収集が課題となっています。下記の情報収集手段は主流ではありますが弱点もあります。

  • テレビ:停電の際に役に立ちません。
  • 防災スピーカー:豪雨などで聞こえない場合があります。

必ず複数の手段を用意することをお勧めします。

そして避難の際に重要なのが非常持出し品(備蓄品)です。通常の防災用品に加えて、新型コロナ対策として衛生用品も準備してください。
例)ハンドソープ、消毒用アルコール、除菌シート、マスク、キッチンペーパー、清潔なタオル

家族単位では体温計、使い捨て手袋、ごみ袋(使い捨ての用品の廃棄時にこまめに密封するため)などもあると便利です。

さらにこれからの季節は換気が必要となる場面で虫(蚊など)の問題があるため、念のために虫よけ薬や虫刺され薬などもご準備ください。(火気が禁止されるケースもありますので、蚊取り線香などの使用は必ず許可をとってください)

③ 在宅避難をする場合

ハザードマップ上で危険がない場合は自宅や職場などに留まって安全を確保します。
※災害の種類を問わず、建物がダメージを受けて危険な場合や地区全体で避難の要請があった場合は、すみやかに避難行動をとってください。また、在宅避難で安全確保に支障がある方(ケアが必要な方等)はより早い段階で避難行動をとってください。

在宅避難で家に備えておく備蓄品は一般的な避難用リュックとは異なります。まず量ですが一定期間身動きが取れない状況を想定し、3日から7日分を最低限準備してください。

さらに一般的な水・食料だけでなく、インフラ(電気・ガス・上下水道)のストップを想定し余裕をもって備えてください。近年増加している洪水や浸水の場合は垂直避難(建物の上層階への避難)が想定されますので「2階や3階に備蓄スペースを用意する」「1階にしかない設備(トイレや手洗い場)の代替を考える」もお忘れなく。

トイレ:防災用の簡易トイレを上層階に備えておく
手洗い場:消毒用のアルコールやウェットティッシュを多めに買い置きする
といった準備があれば安心です。

インフラ面では在宅避難が長期化する可能性から、停電への備えも重要です。

  • 通信機器:モバイルバッテリーやポータブルバッテリーからの給電
  • 冷暖房:とくに寒さ対策の毛布や断熱シートを準備

といった備えも必要になります。
今回は避難する場合、しない場合についてご紹介しましたが、どちらの場合も、近隣の避難所や避難ルートの確認は基本中の基本ですので、台風シーズンの前にぜひご確認ください。

初めて防災用品を購入する法人様へ

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