今なお各地で被害が継続中の災害があることが不安でなりません。
今回は少し中長期的な視点からお話したいと思います。
災害は忘れた頃にやってくる
寺田寅彦が『災害は忘れた頃にやってくる』という言葉を残しています。その意味として三省堂の大辞林 第三版での解説では「災害直後の緊張感や心構えを忘れることをいましめることば。寺田寅彦のことばからという。天災は忘れた頃にやってくる。」となっています。災害の記憶が薄れたころ、関心が無くなったころにあらためて災害について考えるべきと解釈したいと思います。
さらに1歩踏み込んで「災害は繰り返すもの」と認識を持って備えを行う必要があると思います。一例として周期的に発生する地震、大雨や高潮で浸水しやすい場所や地形、孤立しやすい地区、インフラのストップ等々、近年発生した災害をいくつか思い出すだけで当てはまる物があるかと思います。災害は繰り返すということを認識していれば、過去に発生した災害を知ることで今後の災害に対しての備えがより具体的になり、被害の減少や人命の保護につながります。
過去の災害の調べ方
さて過去の災害について調べるには、下記等の方法がありますが、どれも時間や手間が掛かるため一筋縄ではいきません。
- 図書館や資料館で郷土史を調べる
- 地域の中で災害の痕跡や記念碑などを探す
- 旧地名や開発前の地形を調べる
- 被災経験のある人から話を伺う
そもそも今も資料や情報が残っているのか、経験者がどこにいるのか、といった根本的な課題もあります。
災害に限らず100年を超える伝承は簡単ではありません、災害伝承の新たな取り組みとして地図の作成でおなじみの国土地理院は「自然災害伝承碑」を新しい地図記号として13年ぶりに定めました。(2019年スタート)そしてインターネット上の地図から災害を記録した石碑や慰霊碑などを調べる事が可能になりました。
(国土地理院:自然災害伝承碑)
地理院地図(電子国土Web)上に自然災害伝承碑の地図記号が表示され、写真をクリックするだけで、詳しい情報が表示されます。(伝承の内容によっては日付などの情報があいまいな場合もあります)とくに注目して頂きたいのが、発生した災害と被害の内容、場所の情報です。これらを知ることで再び同様の災害が起きた際にとるべき行動や事前の備えを考えるヒントになります。
皆さんの地域では自然災害伝承碑は登録されているでしょうか。現在も国土地理院では情報の追加を行っております。地図上で自然災害伝承碑調べてみる、出来れば実際にその場所に行ってみる、こういった取り組みが災害への関心を保つ事につながれば幸いです。