【ご家庭向け】南海トラフ地震とは?想定被害や津波の範囲について解説

首都直下地震とともに、近い将来の発生が懸念されている震災が「南海トラフ巨大地震」です。南海トラフ地震の震源地や被害予想地域に住まいや勤務先がある方は「南海トラフ地震で家族を守るために何の備えをしておけばいい?」「津波は発生する?発生したらどこに避難すべき?」といった疑問を持つ方も多いかもしれません。今回の記事では、トラフ地震の概要とともに想定被害や津波の範囲、課程での備えや防災対策について解説します。

南海トラフ地震とは

南海トラフ地震とは、気象庁では「およそ100~150年周期で繰り返し発生してきた、南海トラフを震源域とした大規模地震」と定義しています。南海トラフとは静岡県の駿河湾から九州の日向灘沖にかけての、海洋プレートが大陸プレートに沈んだプレート境界のことです。

南海トラフ地震に該当する地震は過去数回発生しており、もっとも最新のものが1946年に起きた「昭和南海地震」です。マグニチュード8.0に相当する大地震で、西日本に甚大な被害を与えました。

つまり、今後の発生が予測されている大震災を含め、南海トラフ地震は日本の歴史の中ですでに何度も発生していることになります。日本政府の地震調査委員会によれば、今後30年以内に70~80%の確率で、マグニチュード8~9クラスの巨大地震が発生する可能性がある、としています。

南海トラフ地震による想定被害

南海トラフ地震による想定被害を順に解説します。

南海トラフ地震の想定震度

南海トラフ地震の想定震度は静岡県から宮崎県にかけての一部で震度7となる可能性があります。さらに、隣接する周辺の広い地域で震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。

南海トラフ地震が発生すると、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域において、10mを超える大津波の襲来が想定されています。

南海トラフ地震の想定被害範囲

南海トラフは静岡県の駿河湾から九州の日向灘までと広範囲にわたります。そのため、南海トラフ地震が発生した際には、東海・近畿・四国・九州地方と西日本の広範囲への被害が想定されると言われています。

南海トラフ地震の想定人的被害

南海トラフ地震で想定される人的被害を以下にまとめました。
・関東~九州にかけての死亡者の推計値:約32万3,000人(30の都府県の合計)
・地震発生から1週間後の避難者の数:最大で950万人

南海トラフ地震の想定物的被害

南海トラフ地震で想定される物的被害を以下にまとめました。
・地震発生から1週間後不足する食料:約9,600万食
・全壊または焼失する建物:約238万棟
・経済被害:総額220兆3,000億円

南海トラフ地震へ個人・家庭での備え


南海トラフ地震はいつ発生するか分かりません。日ごろから個人・家庭で備えておきたい南海トラフ地震への防災対策を順に解説します。

持ち出し避難・在宅避難両方への防災グッズを用意しておく

南海トラフ地震をはじめ、災害や緊急事態に備えて必要な水や食料、防災グッズを備蓄しておきましょう。防災グッズは、持ち出し避難と在宅避難両方の分を用意します。

持ち出し避難とは、自宅から離れて避難場所や避難所へ向かうさいに持ち出す防災グッズです。南海トラフ地震の発生にともない、家屋の倒壊や津波の襲来といった命に危険が迫っている場合には、ただちに今いる場所から安全な場所へ避難をしなければいけません。必要な防災グッズを両手の空くリュックなどにつめて、すぐに持ち出せる場所に用意しておきましょう。

在宅避難とは自宅の安全が確保されている際に、ライフラインや物流が復旧するまでの間自宅で過ごすための防災グッズです。水や食料、カセットコンロ、非常用トイレなどの防災グッズを最低3日間、できれば1週間備蓄しておきます。

持ち出し避難、在宅避難で具体的に準備する防災グッズの種類や備蓄の目安は以下の記事で詳しく解説しています。
防災グッズに絶対必要なものを自宅避難・持ち出し避難に分けて解説

避難場所や避難経路、連絡手段を確認しておく

南海トラフ地震発生後、周辺の建物の倒壊や津波の襲来などの二次被害が発生する可能性も高いです。自宅周辺の危険となる場所には近づかない、自宅が危険な場合はただちに避難できるように、危険な場所や避難場所を確認しておきましょう。自治体が発行しているハザードマップや避難場所・避難所マップを日頃から確認しておくことが重要です。

避難場所と避難所の違いや種類については以下の記事で詳しく解説しています。
避難所・避難場所の違いとは?災害時に行くべき・逃げるべき場所を解説!

南海トラフ地震発生時、家族全員が自宅にとどまっているとは限りません。学校や勤務先など別々の場所にいる家族の無事を確認するために、非常時の連絡手段や集合場所を決めておきましょう。特に災害発生後は電話がつながりにくくなり、家族と連絡を取るのが困難になります。家族専用のSNSを準備しておいたり、災害用伝言ダイヤル(171)を活用したりといった方法を連絡手段として検討しておきましょう。

自宅の耐震性能を確認しておく

南海トラフ地震などの大きな地震が発生すると、建物が倒壊する危険性が高くなります。自宅の耐震性能の確認と、必要に応じた耐震補強を行っておきましょう。特に自宅が昭和56年(1981年)以前に建築されている場合は注意が必要です。昭和56年以前に建てられた建物は、「旧耐震基準」によって建てられた可能性があります。旧耐震基準は現在の建築基準法での耐震基準よりも脆弱であるため、建物の耐震性能が十分でない場合が多いです。

自宅が旧耐震基準で建てられた可能性がある場合、または自宅の耐震性に不安がある場合は、耐震診断を受けてみましょう。耐震診断の結果耐震性が不十分な場合、柱や梁の補強や耐震壁の増設といった耐震改修や、自宅の建て替えを検討します。

耐震診断や耐震改修にかかる費用については、国や自治体で支援制度が設けられています。国土交通省や自治体のホームページの情報をチェックしてみましょう。

国土交通省:住宅・建物の耐震化について

共助のための防災対策を行っておく

災害発生時、国や自治体からの支援である「公助」は行き渡るのに時間がかかります。災害発生時の生存率を上げるために必要なのは、自分や家族で命を守る「自助」、近隣や地域の人と互いの命を守る「共助」です。

防災グッズの準備や避難経路の確認といった「自助」への取り組みのほか、「共助」への取り組みも行っておきましょう。具体的には以下のような防災対策が該当します。
・近隣の人とふだんから声をかけあっておく
・地域の防災訓練などに参加する
・地域の防災組織の理解や参加をする

まとめ

南海トラフ地震の想定被害や津波の範囲とともに、家庭や個人でできる防災対策について解説しました。南海トラフ地震をはじめ、災害はいつ起きるか分かりません。防災グッズの準備をはじめとした防災対策をあらかじめ行っておけば、南海トラフをふくめたさまざまな災害への備えとなります。

初めて防災用品を購入する法人様へ

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