近年、防災意識の高まりにより、災害対策として備蓄を始める家庭も増加しています。特に大規模災害時は電気やガスだけでなく水道も止まる可能性があることから、飲料水に加えて非常用トイレ(簡易トイレ・防災トイレ)を備蓄する家庭も増加傾向にあります。各自治体でも家庭への非常用トイレ備蓄を呼びかける目的で、無料で配布を行っているところもあります。
本記事では、各自治体における非常用トイレの配布事例について解説します。災害時のトイレ対応についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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家庭の非常用トイレ備蓄率は増加傾向にあるものの、十分とは言えない
一般社団法人日本トイレ協会「災害・仮設トイレ研究会」が2017年より3年ごとに実施している「災害用携帯・簡易トイレの備蓄状況に関するアンケート調査」によると、災害時のトイレ備蓄率は調査開始の2017年の15.%から2023年の22.2%と微増が続き、2025年の調査では28.8%となり、2年間で6.6ポイントの上昇がみられました。ただし全体でトイレの備蓄率は30%には届かず、十分な備蓄率ではないと言えます。
各自治体では、すでに飲料水や食料だけでなく非常用トイレの備蓄を促しています。これに加えて、実際に非常用トイレの実物や使用方法を確認するために、非常用トイレの無料配布を行っている自治体もあります。
自治体の非常用トイレ配布事例
以下に各自治体の非常用トイレ配布事例をまとめました。
| 自治体 | 配布物 | 対象者・条件など |
| 東京都多摩市 | お試し用携帯トイレ(1世帯あたり3回分) 多摩市防災ハンドブック |
市内全世帯 |
| 東京都西東京市 | 携帯トイレ15回分(一人1日5回分×3日分) 在宅避難ガイドブック |
市内全世帯 |
| 東京都武蔵野市 | 携帯トイレ1日分(5回分)引換券を市報とともに配布 | 市内全世帯 |
| 東京都港区 | 携帯トイレ各世帯人数分(一人当たり20回分×世帯人数)の郵送 | 配布時点で港区に住民登録があり、引き続き港区に住所を有している方 |
| 東京都新宿区 | 携帯トイレ×4個 アルファ化米(おにぎりタイプ)×2食 家具転倒防止器具取付事業案内チラシ 防災用品のあっせんパンフレット 防災ハンドブック「災害に備えて」 |
区内全世帯 |
| 神奈川県横浜市 | 災害備蓄品のトイレパック(品質保証期間が経過したもの)200セット入り1箱 お試し用として配布 |
横浜市内の自治会・町内会 |
| 千葉県浦安市 | 東日本大震災による液状化を受け、303,868枚の携帯トイレセットを配布 | のべ29,626世帯 |
自治体によっては配布がすでに終了しているところもあります。
その他の自治体の非常用トイレ・災害時のトイレ対応事例
自治体によっては非常用トイレの無料配布は行っていないものの、災害時のトイレの備蓄を啓蒙する活動や、実際の災害時のトイレ対応などを行っているところもあります。
| 自治体 | 取り組み |
| 神奈川県大和市 | 携帯トイレの使用方法の説明動画および日本語、英語、中国語、タガログ語、ベトナム語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、ハングル、インドネシア語、カンボジア語でのチラシ |
| 神奈川県川崎市 | 「川崎市災害時のトイレ対策方針」の取りまとめ 避難所のマンホールトイレの整備 |
| 千葉県千葉市 | 携帯トイレの準備、使い方の動画 災害時のトイレ対策に関するパンフレット、チラシの配布 千葉市内での携帯トイレ販売店舗紹介 |
| 宮城県仙台市 | 簡易組立トイレの組み立て方動画 各指定避難所に「携帯型簡易トイレ」と「簡易組立トイレ」を備蓄 |
| 愛媛県宇和島市吉⽥町(吉田公民館) | 西日本豪雨による断水時、給水車から避難所となった公⺠館の水槽にポンプ アップし、トイレ等水を流せるようになった (携帯トイレ備蓄済みだが使用せず) |
日頃から非常用トイレの備蓄を呼びかける啓蒙活動を行う自治体もあれば、実際の災害発生時にトイレに対して有益な対応を行った自治体もあります。
非常用トイレの配布や災害時のトイレ対応は自治体によって格差がある

非常用トイレの配布や、災害時のトイレ対応については自治体によって差が発生しています。一般社団法人日本トイレ協会「災害・仮設トイレ研究会」実施の「災害用携帯・簡易トイレの備蓄状況に関するアンケート調査」にて地域別の災害時用トイレの備蓄率を調査したところ、備蓄率トップは東京都で37.0%、2位は34.0%の埼玉県、3位は33.0%の静岡県となりました。ほかにも神奈川県が32.0%、千葉県が30.0%と、首都圏の自治体はいずれも災害時用トイレの備蓄率が3割を超えています。一方で静岡を除く中部、四国地方の備蓄率は25%程度にとどまりました。
同協会が実施した「能登半島地震における避難所トイレの被災状況調査」では、災害発生時各避難所が仮設トイレの設置まで要した日数は、仮設トイレの設置日がわかっている10か所のうち3日以内10%、4日~7日以内50%でした。さらに、発災当初のトイレの使用状況については、携帯トイレを使用した避難所は90%、簡易トイレを使用した避難所は57%となっています。仮設トイレは設置に時間がかかるため避難所では携帯トイレや簡易トイレを余儀なくされるケースが多いものの、携帯トイレや簡易トイレを十分な量備蓄しているかは、避難所を管轄する各自治体によって異なります。
災害時は住まいの自治体で災害時に対するトイレの十分な対応が受けられない可能性があります。そのため、自治体からの携帯トイレの配布や仮設トイレの設置といった公助を待つ間に、自分や家族の分使用できる災害時のトイレはしっかりと行っておくことが重要です。
家庭での備蓄におすすめの災害用トイレ
災害発生時、お住まいの自治体からの支援が届くまで、または水道が復旧する前の間を耐えるまでには1人あたり最低1日5回×3日分=15回分、できれば1日5回×7日分=35回分の災害用トイレの備えを行いましょう。
家庭での災害時への備えとしておすすめの商品がマイレット「S-100」です。水がなくても使用できるトイレ処理セット100回分がセットとなっています。便器用の袋を便器や簡易トイレにセットし、用を足し、凝固剤を振りかけるだけですばやく排泄物を固めます。凝固剤の袋は切れ目入りのため誰にでも開けやすく、お子様や高齢者の方でも取り扱いがしやすい災害用トイレです。処理後は高い抗菌性や消臭性を発揮するため災害発生時でも衛生的に使用でき、燃えるゴミとして出せます。
100回分のセットのため、ご家族2〜3人1週間分の備えとしてぴったりです。長期10年保存が可能なため、いつ起きるかわからない災害に対しても、長い間しっかりと備えられます。コンパクトなサイズのため、ご家庭での備蓄時にもスペースを圧迫しにくく、飲料水や食料、防災グッズなどのほかの災害への備えとともに保管もしやすいです。
ご家族の人数が多い場合には、300回分セットの「S-300」もおすすめです。
まとめ
自治体での携帯トイレの配布や災害時のトイレ対応の事例と、家庭での備蓄におすすめの商品を紹介しました。災害発生時は避難所での仮設トイレ設置や災害用トイレの配布など、自治体でも支援を行っているところは多いものの、支援の内容は自治体によって差があります。また、災害発生時は支援が届くまでは時間がかかるため、その間の備えが必要です。ほかの防災グッズとともに、災害用トイレの家庭での備蓄をしっかりと行っておきましょう。
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