6月に入りまして梅雨入りのニュースが聞こえ始めましたが、大阪に住む私としましては忘れられない災害があります。それは2018年(平成30年)6月18日7時58分ごろに発生しました「大阪北部地震」です。
なお、大阪北部地震について各地の震度、被害状況等詳しく知りたい方は下記のWebページをぜひご覧ください。
https://www.jma.go.jp/jma/menu/20180618_oosaka_jishin_menu.html
(気象庁:大阪府北部の地震の関連情報)
http://www.mext.go.jp/a_menu/osakahokubujisin/index.htm
(文部科学省:大阪府北部を震源とする地震について)
https://www.mlit.go.jp/saigai/saigai_180618.html
(国土交通省:大阪府北部を震源とする地震について)
大阪北部地震での人的被害の中で、大阪府高槻市の小学校に通学途中の児童がプールのブロック塀の下敷きになり亡くなるという痛ましい事故が発生しました。ニュース等で大きく取り上げられたので、皆さんの記憶にも残っているかと思います。各地の学校ではブロック塀は老朽化したものや建築基準を満たさないものについて撤去が進んでいるとの事ですが、危険なものはブロック塀に限りません。そこで今回は通学や通勤の途中での被災、避難所への移動などを想定した「移動ルート上の防災」についてご紹介したいと思います。
情報収集&検討
まずはハザードマップ(防災マップや避難所マップ等を含みます)の入手からスタートします。自宅で被災した場合はお住まいの地区のハザードマップを手に入れるだけで済みますが、通勤や電車通学までをカバーするには他の地区や自治体のハザードマップも必要になります。ハザードマップを一通り集めるなかで、どんな災害が想定されているかも分かってくるかと思います。(想定される災害ごとにハザードマップが別々に用意されている場合もあります)
ハザードマップを一通り手に入れましたら、自宅、学校、職場、駅、避難場所等の点を普段の移動ルートや避難ルートの線で結んでみてください。この点と線を中心に安全を確保する、危険を回避する事を目指します。ハザードマップ上に見えてきた点と線、とくに移動ルートの線は最短距離がベストなのですが、安全性も考えて「より良いルートはないか?」という視点で見直しをしてください。
ハザードマップ上でチェックするポイント
- ルート上や付近に危険な箇所は無いか
- 災害により通行不可となる箇所はないか
例)川を渡る橋、歩道橋、地下道、踏切、可燃物や危険物が集まる場所等
といったものがあると思います。
ハザードマップ上で危険な個所や通行できない箇所が分かる場合は、別のルートや予備の迂回ルートを「新たな線」として検討してください。普段の移動ルートを見直すことは難しいかもしれませんが、危険性がある事を知っておくのも防災として重要です。
実地確認
ハザードマップ上で点と線を明らかにした後は、実際にそのルートを歩いてみる事をお勧めします。普段は車などで移動している方も歩いてみる事で新たな発見があるかもしれません。(もちろん災害時に車が使えないという想定もお忘れなく)
歩く際の安全確認のポイントの一例
- 地震:落下しそうな看板や割れる恐れのあるガラス窓があるか、倒壊しそうな建物があるか、余震の時にどうするか等
- 大雨:側溝や川に落ちる、マンホールの蓋が外れて落ちる、冠水で通れない等
- 火災:火災はどこでも起きる可能性がありますが、要注意の場所として可燃物や危険物が集まる場所、人が多く集まる場所(パニックによる二次被害の恐れ)等
といったものがあると思います。
もしお子さんのいらっしゃる家庭の場合は子ども達と歩いてみて、子どもから見た「危ない」をチェックする事も大切です。さらにプラスαとしてとしては「移動や避難しないケース」も考えてみることをお勧めします。
例)台風が接近する場合は無理に外出しない(学校が休校となる、交通機関が運休となるなど)
自宅で上の階に避難する、職場や学校に留まる等の場合にもハザードマップの被害想定が役立ちます。
最後に念押しとなりますが、ルート上の防災と言いますと通学路が注目されているので、子ども向けの防災と思われがちですが、落下物による死傷や用水路への転落など、被害は大人でも発生しています。普段から慣れている道も、慣れていない避難ルートも必ず安全とは限りません。危険ポイントの有無をチェックする事でより安全に避難する事が可能になります。梅雨から夏にかけての大雨や台風のシーズンを前に移動ルートのチェックをお勧めします。