先日の台風21号では近畿地区の各所で停電が発生し、長いところでは1週間近く停電したという情報も伝えられていました。実際に停電を経験した企業様のお話を伺う事ができましたので、社名は伏せさせて頂きますがご紹介します。

「台風が通り過ぎるまで上層階の食堂や会議室にパートスタッフも含め全員待機を指示したが、空調が動かない(台風で窓は開けられない)、自販機も動かないため待機中に体力を奪われた。体調を崩す人が出なかったのが不幸中の幸いだった」とのことです。

→安全確保は「避難したら終わり」ではなく、避難が解除されるまで(企業の場合は帰宅するまで)と考えることをお勧めします。どうしても避難行動にばかり意識が向いてしまいますが、避難後の待機についても意識しておくと良いでしょう。

アドバイスとしては、狭い部屋に大勢が集まるという事も長時間の待機には不向きですので、夏場・冬場を想定して複数の待機場所を検討しておく、体調を崩した人(複数)に対応できる部屋を用意するといった事前準備をおすすめします。

これらの備えは近年注目されている「帰宅困難対策・社内待機」に通じるものがありますので、早めに取り組んでおく価値があります。

建物内が停電して懐中電灯やランタンを使って作業を再開しようとしたが、水道やトイレが使えず困った。

→電力は照明や工場の機械以外にも、水回りにも影響します。特に屋上に水タンクを持たない建物の場合は停電=給水停止となるケースが多いため、どのレベルまで水の備えを行うか事前の検討・準備をおすすめします。停電の長期化や停電からの復旧前に業務を行うことを想定するならば、保存用の飲料水、手を清潔に保つ消毒アルコール、使い捨ての簡易トイレ等の準備をおすすめします。

・ノートパソコン、バーコード読取り機(ハンディターミナル)はバッテリーがあるので動作したが、無線LANでデータを送っていたため、検品や出荷業務がストップした。
=>事務所や倉庫内で運用される無線LAN機器(据置型)はコンセントからの給電を必要とします。外部との通信であれば、ノートパソコン+スマートフォンのテザリング(もしくはモバイルルーター)で代替可能です。バーコード読み取り機のような機器の場合はケーブル接続やメモリーカード(USBメモリやSDカード)でのデータ移動をご検討ください。(非対応の機器もあります)また、コンセントからの電源の代替については次回以降にご紹介します。

・マテハン機器(コンベア、仕分け機等)が停電でストップした。再起動の手順が分かる社員がいたため翌朝の復旧作業が行えた
=>マテハン機器や製造機器等は大きな電力を必要とするため小型の発電機等では対応できないケースが大半です。自動倉庫も含め停電の際は機器が突然停止するため、電源を入れなおすだけでは復旧できないとお考えください。復旧手順を文書化し社内で復旧作業を行える人員を複数用意する事で、復旧のスピードアップが期待できます。

・社内のサーバーが停止し、再起動から業務再開までの手順書がすぐに見つからず、電力回復後の業務開始が遅れてしまった。
=>復旧手順書はサーバー室やサーバーラック付近での保管をおすすめします。あわせてUPS(無停電電源装置)の稼働状況を定期的にチェックしバッテリーの劣化や不具合の有無をご確認ください。UPSの適切なメンテナンスや交換はサーバーの破損(データ消失)という最悪のトラブル回避には必須です。

・廊下や階段などに窓が少ない建物だが、停電後は非常灯が点灯し、一安心していたが2時間程度でバッテリーが切れてしまい、真っ暗になってしまった。
=>非常灯はあくまで避難用として建築基準法で定められている物です。長時間タイプでも「60分以上」のバッテリー寿命が設定されている程度で、数時間といった業務再開や暫定業務を想定したものではありません。今回のように「台風が通過して外が安全になるまで待機」といった用途では別途、電池式の照明器具が必要です。

今回、お話を伺う機会がありませんでしたが、冷凍倉庫や定温倉庫については温度管理(温度維持)が必須ですので、停電による商品への影響も大きいかと思います。停電した際に「何をすべきか」「何をしてはいけないか」を明確に定め1分でも長く温度を維持できるような対応手順をご準備ください。