11月が近づき秋らしさがぐっと増してきますが、防災業界では色々と忙しい時期でもあります。防災の関係者が忙しくなる(訓練やイベントが多くなる)理由の1つは、11月5日が「津波防災の日」に制定されているからだと知って頂けますと幸いです。(海外では「世界津波の日」と呼ばれています)
平日なのであまり意識されていませんが11月5日が「津波防災の日」「世界津波の日」となった由来からご紹介します。
安政元年(1854年)11月5日、地震による大津波が広村(現在の和歌山県広川町)を襲った際に、濱口梧陵さんが稲むらに火をつけ、多くの住民を避難させたことに由来しています。(日本では2011年に「津波防災の日」として制定され、2015年に国連で「世界津波の日」に制定されました)
稲むらの火の館 濱ロ梧陵記念館 津波防災教育センター(和歌山県広川町)
https://www.town.hirogawa.wakayama.jp/inamuranohi/
津波防災の日(東京都防災ホームページ)
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/taisaku/1000216/1001437.html
この津波防災の日をきっかけとして、各地で防災訓練等が予定されています。近隣で訓練の予定が無いよ、という方もご安心ください。
気象庁から11月1日実施の緊急地震速報訓練の案内が出ています。
https://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/nc/kunren/2018/02/kunren.html
スマートフォン向け「地震防災訓練アプリ」も用意されています。
https://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/nc/kunren/kunren-app.html
「津波の時は高いところへ避難』がテレビ等で取り上げられたため知られるようになりましたが、まだまだ知られていない事もあります。訓練やイベントへの参加前の予備知識としてぜひお読みください。
■津波について、あまり知られていない事
・強い地震が起きていなくても津波が来ることがある
日本で揺れを感じない遠方の地震でも津波が来ることがある。(三陸にはチリ地震の津波が来たことがある)
津波は地震以外の自然現象(火山噴火や隕石の落下など)でも発生する。
※世界的に津波の観測網が整備されつつありますので、津波の情報はラジオやインターネットから入手しやすくなっています。
・津波は引き波から始まるわけではない
大津波の前には引き波(引き潮やそれ以上の海岸線の後退)が起こると思われがちですが、必ずという訳ではありません。
・強い波がおさまっても油断してはダメ
津波が到達して、いったん波が落ち着いたらもう大丈夫!と思ってしまいがちですが、第二、第三の津波が続いている事が多く、警報が解除されるまで避難が必要になります。(大阪府では6時間程度の避難を目安として啓発しています)
東日本大震災の際は、高台に避難したものの建物も備蓄品もなく、真冬の寒さの中で避難を続ける事になり辛かったという声が多数ありました。これも備えの参考になるエピソードです。
・波の衝突以外にも危険がある
津波で流された船舶やコンテナ、車両や建物が避難する建物に衝突する恐れがあります。
※想定される波の高さ+1~2フロア分上に避難する事を紹介したマニュアルがありますが、こういった理由によるものです。
衝突した漂着物からの火災の他、ガスタンクやガスボンベに引火した状態で流される事もあります。
・海岸から離れていても被害が出る
津波は海岸線で止まるわけではなく、川などを遡上するため河口から数キロ離れていても被害が出る事があります。
また「海とは違う川の方向から津波が来た」(東日本大震災での体験談)、や「太平洋側ではなく瀬戸内海から津波が来るパターン」(南海トラフ巨大地震のコンピュータシミュレーションの1パターン)もあり、想定通りの避難だけでなく周囲を警戒しつつ、より高い場所に避難する必要があります。
最後になりますが、津波について詳しく知りたい方へのオススメの施設です。
津波高潮ステーション(大阪府)
http://www.pref.osaka.lg.jp/nishiosaka/tsunami/
※11月11日にはイベントが予定されています。
11月5日は良いタイミングですので、ぜひ津波について知識を深めて頂けましたら幸いです。