令和元年も大雨や洪水の多い年となってしまいました。先日の台風19号での被害も政府発表では1都13県にまで広がっています。
台風19号接近の際「警戒レベル4」や「警戒レベル5」が発表され、避難や命を守る行動をとった方も多いかと思います。「警戒レベル4」で『全員避難』と報じられている点から、今回は避難所をテーマとして考えたいと思います。
警戒レベルと避難とは
この警戒レベルの運用スタート直後の7月に九州南部での豪雨があり、鹿児島市は市内全域に避難指示(警戒レベル4)を出しました。これにより「市民全員が避難所へ向かうこと」という認識が広がり、一部の避難所では収容人数をオーバーし、屋外や車の中で過ごす避難者が発生しました。
これに対して、鹿児島市は後日、市民が取るべき避難行動についての動画を作成し周知を行っています。
避難指示(警戒レベル4)についての現時点での私の解釈としましては以下のようになります。
『ハザードマップ等で危険と指定された場所にいる、または(指定されていないが)今いる場所に危険が迫っている場合に避難所に向かう』すでにマスコミ等でも「今いる場所が危険な人が全員避難する」という注釈が出されているケースもあります。
※なお、当ブログでは自治体が指定している避難可能な建物を便宜上「避難所」と読んでいます。(避難可能な建物の呼び方は自治体によって異なります)
避難所とは何か
まず、避難所といいますと、
- 食べ物がある、炊き出しがある
- 寝泊りの設備がある
- 必ず受け入れてくれる
- 自治体の職員がいる
- 医療関係者がいる
- あらゆる災害から守ってくれる安全な場所
といったイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、上記のどの項目も「必須の条件」ではありません。そもそも避難所に指定されている施設や建物は、大半が避難のために建てられたものではありません。
避難所の厳しい実情
- 最低限の避難機能に特化している(例:津波避難タワーは高さを稼いでいるが、屋根や生活インフラが無いケースもある)
- 一部の災害には対応していない(例:施設周辺が遊水池になっているため、洪水時は避難禁止)
- 避難者を限定している(例:福祉避難所、住民専用の避難所、通勤者・通学者・旅行者向けの避難所)
- 公共の施設だが避難所に指定されていない(例:他の防災用途が決められているため、一般人の立ち入りが禁止される)
- 避難所に指定されているが、開設条件が段階分けされており、災害発生後すぐには開設されない(例:一次避難所が満員となった場合に開設される)
- 避難所は全住民を収容できない(例:ある自治体では収容人数は住民5人に1人、食料備蓄は20人に1人分)
などがあり、実際に避難できるかはハザードマップ等での確認が必須となっています。今回は実情のご紹介が中心となったため、明確な解決には至っておりませんが、防災の基本は「知ること」ですので、これを機会に避難について家族や職場で話し合ってみてはいかがでしょうか。