6月に入りまして、各地で梅雨入りのニュースが聞こえてきました。梅雨入りが遅れている地域もありますが、これからのシーズンは大雨や台風による洪水や土砂災害が発生する恐れがあります。
梅雨を前に政府は平成30年の豪雨災害を受けて避難勧告等に関するガイドラインの変更を行いました。各警戒レベルでのとるべき行動など、内閣府より新しいガイドラインが公表されています。
http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/h30_hinankankoku_guideline/
(内閣府:避難勧告等に関するガイドラインの改定)
今回は新しいガイドラインの内容をピックアップしまして、皆さんに押さえて頂きたいポイントをご紹介します。
まず特徴的なものとして避難を促すきっかけとなる『警戒レベル』に注目してください。
Contents
『警戒レベル1』心構えを高める
災害情報の収集や備蓄品の確認。
『警戒レベル2』避難行動の確認
ハザードマップや避難ルートの確認、持出し品の確認。(水害の場合は持出し品の防水パッキングをお勧めします)
『警戒レベル3』避難に時間の要する方は先行して避難
避難に時間を要する方(高齢者や介助が必要な方等)は早めに避難を実施。
『警戒レベル4』全員が安全な場所へ避難
安全な場所へ全員が避難。避難が困難な場合は建物の上層階等より安全な場所へ避難。
『警戒レベル5』災害発生の可能性大
すでに災害が発生している恐れがあるため、今いる場所や最寄りの場所で安全を確保。(通常の避難が困難な状況)
少し誤解を招きそうなのが『レベル4』で、市町村が発令する避難情報では「避難勧告」と「避難指示(緊急)」の両方が対応しています。つい「避難指示(緊急)が出るまでは猶予があるのでは?」と思ってしまいそうですが、内閣府から公表されているQ&Aでは「避難指示(緊急)は、地域の状況に応じて緊急的に又は重ねて避難を促す場合などに発令されるもので、必ず発令されるものではありません。避難勧告が発令され次第、避難指示(緊急)を待たずに速やかに避難をしてください」となっており単純明快です。
重要な点をまとめますと、
- 避難に時間を要する方は「警戒レベル3」もしくは「避難準備・高齢者等避難開始」を見たり聞いたり場合は、避難を開始する。それ以外の方は避難の準備。
- 「警戒レベル4」もしくは「避難勧告」「避難指示(緊急)」では全員が避難を開始する。
- 「警戒レベル5」または、それ以前のレベルでも危険が差し迫った場合は垂直避難(建物の上層階や屋上に避難)等、最短時間での避難を行う。
となります。
全ての段階に共通する事ですが、避難が困難な状況では(道路が冠水している、避難ルート上に障害物や危険な個所がある等)は無理に避難場所に向かわず、今いる場所や近隣で安全を確保してください。(垂直避難等)
ここまでは避難を開始するタイミングを中心にお話をしてきましたが、速やかな避難のためにも「警戒レベル1」「警戒レベル2」の段階で『避難ルートの図上確認』や『持出し品の確認』を行うことをお勧めします。とくに水害の場合、避難先でタオルや着替え、ウェットティッシュなどの「普段使いの生活用品」が役立つことが多いため、持ち出せる範囲で準備する事をお勧めします。
さらに『警戒レベル1』の段階で情報を入手する手段を複数確保することを心がけてください。
一例ですが、
- 防災スピーカー(雨音で音声が聞こえない)
- テレビのニュースやデータ放送(停電でテレビが映らない)
- 自治体Webページ(自治体の被災で情報発信ができない)
- 広報車(広報車が巡回することが出来ない、音声が聞こえない)
- SNS(情報の遅延や前後が発生する、不正確な情報やデマが含まれる)
といった手段ごとにリスクがあるため、1つに頼りっきりではとても危険です。
季節の移ろいは風情でもありますが、時として自然の「優しくない一面」を見せつけられる事もあります。日ごろからの備え+いち早い避難で命を守るよう皆さまご注意ください。