富士山噴火はいつ?避難が必要な範囲や備蓄について解説

富士山噴火はいつ?避難が必要な範囲や備蓄について解説

日本一の高さを誇る富士山は、世界遺産にも登録されており世界的にも有名です。毎年登山シーズンになると、国内外からの多くの登山客で賑わいます。実は富士山は噴火の危険性があるのをご存知でしょうか。日本政府などでは、定期的に富士山の噴火シミュレーションを出しています。今回の記事では、富士山が噴火する可能性や噴火した場合に想定される被害、避難が必要な範囲ややっておくべき準備や備蓄について解説します。

富士山の現在の状態を知る噴火警戒レベルとは

富士山は、気象庁により「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」である活火山に分類されています。活火山は噴火する可能性があるため、気象庁では毎月上旬に前月1か月の火山活動の状況等について解説するために発表を行っています。
参考:国土交通省_気象庁_富士山の活動状況

現在の富士山の状態と、噴火の危険度の指標となる噴火警戒レベルについて解説します。

2025年4月現在の富士山の状態

2025年4月現在の富士山の噴火予報は、「噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)と、もっとも低いレベルです。

富士山の噴火予報は、気象庁の公式サイトで随時更新されています。

噴火警戒レベルとは

噴火警戒レベルとは、富士山を含めた活火山が噴火時に危険となる範囲や、必要な対策についてレベル1〜5段階で区分したものです。

噴火警戒レベルについて、以下の一覧でまとめました。

噴火警戒レベル 警報の種別 想定される現象 住民等への行動、入山者への対応
1(活火山であることに留意) ・予報
・噴火予報
火山活動は静寂
明瞭な噴気や地震活動の高まりなどが見られたら、レベルを引き上げる
住民は通常の生活
入山者は必要に応じて下山
2(火口周辺規制) ・警報
・噴火警報(火口周辺)または火口周辺警報
火口付近に影響を及ぼす噴火が発生、または発生が予想される 住民は通常の生活
入山者への火口周辺への立ち入り規制
3(入山規制) 火山活動の高まり
居住地域の近くまで影響を及ぼす噴火の発生、または発生が予測される
一部地域の住民は避難
観光客等は帰宅
登山禁止、入山規制など
4(高齢者等避難) ・特別警報
・噴火警報(居住地域)または噴火警報
居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生する可能性が高い 警戒が必要な地域での高齢者などの要配慮者の避難
一部地域の住民は避難
5(避難) 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、または切迫している状態 危険な居住地域からの避難

富士山の噴火の歴史と今後の噴火予測

富士山は現在噴火の兆候は見られないものの、活火山であることを留意し、噴火には常に警戒しなければいけません。これまでの富士山の噴火の歴史と、今後の噴火予測について解説します。

富士山の噴火の歴史

富士山一帯は数百万年前から火山活動が活発であったとされており、歴史上でも以下のように何度も噴火した歴史が残っています。
・小御岳火山(約70万年前~20万年前)
・古富士火山(約10万年前~)
・氷河期の山頂付近の噴火と泥流
・溶岩主体に移行(約1万1000年前)
・新富士火山(約5千年前~)
・縄文時代後期の爆発的噴火(約3千年前)
・御殿場泥流(約2千300年前)
・延暦大噴火(800年)
・貞観大噴火(864~866年)
・宝永大噴火(1707年)
・山頂周辺での噴気活動(江戸時代晩期~昭和中期) 1854年の安政東海地震をきっかけに開始
・山頂で有感地震(1987年8月20日~27日)

ほかにも、古文書などで新富士火山の噴火は781年以後17回記録されています。なお噴火の合間には平穏な期間が数百年続く傾向にあり、1083年から1511年までは400年以上、1707年の宝永大噴火以後は約300年間噴火していません。

次に噴火するのはいつ?

富士山が次に噴火する正確な時期は、はっきりと予測はできません。ただし、富士山は活火山であり火山活動は完全に止まることはないと言われています。いつ富士山は噴火するかは分かりませんが、「噴火する可能性がある」ことを覚えておき、必要な備えをしておくことが重要です。

富士山が噴火した場合に想定される被害

富士山が噴火した場合に想定される被害は、以下の通りです。
・溶岩流
・火砕流
・噴石
・火山ガス
・水蒸気爆発
・融雪型火山泥流
・降灰

溶岩流や火砕流などで直接的な被害を受けるほか、降灰によって鉄道の運行停止、停電、通信障害、上下水道の水質低下などの被害が出ることも想定されています。

富士山が噴火した場合に影響が出る地域や範囲

富士山が噴火した場合に影響が出る地域や範囲については、富士山ハザードマップ検討委員会が公表している「富士山ハザードマップ」で確認できます。時間の経過による影響を可視化できる、「富士山噴火による溶岩流シミュレーション動画」も公開されています。

被害が想定される地域は静岡県や山梨県、神奈川県といった富士山周辺の都道府県だけでなく、風向きによっては都心や千葉県、埼玉県まで降灰による影響が出ると予想されています。

富士山の噴火に備えてやっておくべき準備や備蓄

富士山の噴火に備えてやっておくべき準備や備蓄
富士山が噴火すると、近隣の自治体だけでなく首都圏にも影響が出る恐れがあります。富士山の噴火に備えてやっておくべき、準備や備蓄を順に解説します。

住まいの自治体ごとの防災対策を確認する

富士山の近隣にある自治体では、富士山の噴火に備えてさまざまな防災対策を行っています。前述のハザードマップや動画の公開のほか、噴火に備えた防災訓練などを実施しているところもあるでしょう。

日頃から地域ごとの防災対策を確認しておくことで、いざというときの備えにつながります。
ソフト防災・ハード防災とは?災害対策の具体例を解説

気象庁の発表を確認する

富士山の噴火警戒レベルや噴火警報などは、気象庁が随時発表しています。日頃から富士山の状態や危険度を確認しておくことも重要です。

非常用持ち出し袋+火山灰対策グッズを用意する

すでに地震や台風などの備えで非常用持ち出し袋や備蓄を行っている場合、富士山噴火に伴う避難時も活用できます。噴火での避難時は、非常用持ち出し袋にプラスして、以下のような火山灰の対策グッズを用意しておきましょう。

・ヘルメットか帽子
・タオル
・ゴーグル
・マスク
・手袋
・雨具(長袖、長ズボン)
・靴か長靴
・懐中電灯

「水のいらない」災害用トイレ一覧はこちら

非常用持ち出し袋の中身については、以下の記事で詳しく解説しています。
防災グッズに絶対必要なものを自宅避難・持ち出し避難に分けて解説

火山灰を吸い込んだり、目に入ったりすると目や呼吸器に疾患が出る可能性があります。また皮膚に付着すると痒みが引き起こされます。火山灰から自分や家族の身を守るための準備もしておきましょう。

自宅避難の場合は、ガムテープで自宅の窓枠を貼って、室内に火山灰が入るのを防ぐことも重要です。

まとめ

富士山噴火の警戒レベルや避難想定、噴火が起きる時期や準備、備蓄について解説しました。富士山の噴火はいつ起きるか予測ができず、首都圏まで被害が及ぶ可能性もあります。他の災害と同じく、富士山の噴火への備えや情報収集も欠かさずに行いましょう。

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