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企業・法人向け防災セットに見直しと入れ替えが必要な理由
いつ起きるか分からない災害への備えとして、一般家庭だけでなく企業・法人でも防災セットの備蓄が求められています。けれども、防災セットは一度準備すればそれで終わり、ではなく定期的な見直しと必要に応じた入れ替えが必要です。
企業・法人向け防災セットの見直しと入れ替えが必要な理由を解説します。
賞味期限・消費期限があるため
防災セットの中には、食料や飲料水、医薬品など賞味期限や消費期限が設けられているものも多いです。災害や非常事態が起き、防災セットを使用するときが来ても賞味期限や消費期限が切れていると使用できません。必要なときにすぐに使えるように、賞味期限や消費期限をチェックする上でも、定期的な見直しが必要になります。
特に企業・法人向けの防災セットは備蓄する量も一般家庭よりも多いです。備蓄する量が多いからこそ、賞味期限や消費期限を定期的にチェックせず切らしてしまうと、その分の人が助からなかったり、避難生活が困難になったりすることになります。人命を守るという防災セットが持つ目的からも、賞味期限や消費期限の定期的なチェックは必須と言えるでしょう。
従業員の人数に変動があるため
企業や法人では、従業員の採用や退職、人事異動などで人数の変動が発生します。人数が変動すれば当然備蓄する防災セットの量も変動するため、人数に合わせた防災セットの量を備蓄する上でも、見直しや入れ替えは必要です。
人数が減ったら防災セットの量を減らし、人数が増えたら増やします。常に必要な分の防災セットを備蓄するように、定期的に量の見直しや入れ替えを行いましょう。
企業・法人が備蓄する防災セットの中身や量については、こちらの記事でくわしく解説しています。
法人向け防災用品の選び方と社員数に応じた備蓄量目安を防災士が解説!
必要な防災セットを追加・削減するため
防災セットの中身にはさまざまなものがありますが、従業員の増減や事業の変更などにともない、中身の入れ替えが必要な場合があります。たとえば男性ばかりだった事業所に女性の従業員が入社した場合、防災セットの中身に生理用品を追加するなどの対応が必要です。
たくさんの女性の声から誕生!災害時でも安心して使えるトイレアイテムセット
災害時にすぐに使用できるようにするため
企業・法人の防災セットは災害発生時や非常時、すぐに使用できる状態にしておかなければいけません。防災セットの保管場所や配布方法を周知しておかないと「防災セットの場所が分からない」「防災セットを従業員や避難してきた方に配布したいものの、どれをどのくらい配っていいか分からない」といった事態になり、災害時や非常時に混乱する原因にもなります。
防災セットの保管場所や配布方法の周知や確認のためにも、定期的な見直しは必要です。
最低限必要な防災セットの中身をおさらい!
ここでは、最低限必要な防災セットについて説明します。
保存水、非常食
おおよそ1人あたり2〜3本の水が必要です。非常食は1人あたり2〜3食分で、おやつもあるとさらに良いです。缶詰パンや缶詰のクラッカー、ドライフルーツ、火や水を使わずに摂取できる麺やご飯など、非常食の選択肢は幅広くあります。
簡易トイレ
簡易トイレは、便器が使えなくなったり、水が止まったり、避難所が遠い時や下水設備が機能しない時に役立つものです。ホームセンターで購入でき、3回分くらいあると安心です。選ぶ際は、防臭性、固まる速さ、片付けやすさなどを重視すると良いでしょう。
懐中電灯
懐中電灯は、電気が止まって暗くなった時に不便さを解消し、危険を防ぐために必要です。日常使いから非常時に適した装着型まで、さまざまな種類があります。
災害用ホイッスル
災害用ホイッスルは、リュックなど手の届く場所に置いておくと、声が出せない状況でも助けを求めることができます。
アルミブランケット
アルミブランケットは、薄くて軽いアルミ素材でできており、体に巻くことで風や低温から守り、雨で体温が奪われるのを防ぎます。1人1枚を準備することをお勧めします。
タオル
タオルは、1人1枚用意しておくと良いです。雨に濡れたり、怪我をした時だけでなく、さまざまな状況で役立ちます。
レインコート
雨によって体が濡れると、低体温症などのリスクが高まります。大雨や嵐の際の避難、雨の中での作業にも重宝します。水が染み込まない丈夫なものを選び、1人1枚備えておくことが大切です。
マスク
災害による建物の崩壊で発生する粉じんから身を守るため、また不衛生な環境下での使用にもマスクが役立ちます。1人あたり数枚を準備しておくと安心です。
救急セット
絆創膏、消毒液、日頃使用する常備薬、生理用品などを一式まとめておくことが望ましいです。病院から処方された薬を常用している場合は、その処方箋のコピーも準備しておくべきです。
貴重品
手元に現金や保険証のコピーを用意しておきましょう。病院から処方された薬が必要な場合は、処方箋のコピーも忘れずに備えておくことが重要です。
企業・法人向け防災セットを見直す最適な時期
企業・法人向け防災セットの見直しや入れ替えを計画したいものの、「いつ見直しや入れ替えをしていいか分からない」「業務の支障とならないように、効率的に見直しや入れ替えができるときが知りたい」といった方も多いですよね。
企業・法人向け防災セットの見直しや入れ替えを行う時期としておすすめなのが、以下の3つです。
・人事異動の発生する時期
・年末(12月)
・各企業・法人で覚えやすい任意の時期
それぞれ解説します。
人事異動の発生する時期
企業・法人向け防災セットは従業員の人数に応じた量を備蓄する必要があります。事業所の人数が増減する人事異動の発生する時期に防災セットの見直しや入れ替えを行うと、必要な防災セットの量を確保できます。
人事異動が発生する時期は年度末、決算期など各企業や法人によって異なります。自社や自団体の人事異動が発生するタイミングを確認して、合わせて防災セットの見直しや入れ替えを行いましょう。
年末(12月)
年末には大掃除やオフィスの整理を行う事業所も多いです。大掃除や倉庫整理をしながら防災セットの賞味期限や消費期限、量は足りているかのチェックをすると効率よく見直しや入れ替えができます。
各企業・法人で覚えやすい任意の時期
各企業や法人で覚えやすい任意の時期や日時に防災セットの見直しや入れ替えを行うのもおすすめです。たとえば9月1日の防災の日に避難訓練を実施するのと同時に防災セット周りの確認や見直しをする、月1回の倉庫整理のタイミングで防災セットの見直しや入れ替えを行うなども良いでしょう。
企業・法人向け防災セットの見直し・入れ替えのコツ
防災セットの見直しや入れ替えは必要であることは知っているものの「量が多く見直しや入れ替えの作業負担が大きい」「見直しや入れ替えの作業に充てる時間がない」といった企業や法人も多いかもしれません。
企業・法人向け防災セットの見直しや入れ替えをスムーズに行うコツを紹介します。
賞味期限・消費期限の長い防災グッズを選ぶ
企業・法人用の防災セットの中身のひとつに、食料や飲料水があります。ところが、一般的なレトルト食品やインスタント食品、ペットボトルの飲料水は数ヶ月~2年ほどの賞味期限・消費期限しか持ちません。備蓄するのは最長5年の賞味期限・消費期限を設けている防災用備蓄向けに作られた商品を選ぶと、賞味期限・消費期限を切らすことが少なくなります。
ローリングストックやフードバンクを活用する
賞味期限・消費期限が切れそうな食料や飲料水は、ローリングストックを利用するとつねに新しいものに入れ替えながら備蓄ができます。備蓄用の食品や飲料水を社内で消費し、消費した分を買い足して備蓄するローリングストックを上手に活用しましょう。
見直しや入れ替えをしていたものの、賞味期限・消費期限が切れてしまった食料や飲料水はフードバンクを利用するのがおすすめです。たとえば各地域のフードバンク団体が行政窓口や公共施設、NPO法人、社会福祉協議会などの事務所に食品の回収BOXを設置する「フードドライブ」を行っています。フードバンクの活動を利用すれば、賞味期限・消費期限の切れた食料や飲料水を手間なく手放せるだけでなくフードロス問題への取り組みにもつながります。
防災入れ替えサービスを利用する
企業・法人向けの防災グッズの販売とともに、見直しや入れ替え、賞味期限や消費期限切れの防災グッズの処分などをまとめて依頼できるサービスを利用する方法があります。必要な防災グッズをそろえられるほか、見直しや入れ替え、処分などの手間なくすべてをお任せできるのがメリットです。ただし自社で防災グッズの管理や見直しをするよりもコストが発生します。防災グッズの備蓄の期間が長ければ長いほどランニングコストが発生しますので、作業の負担とコストのバランスを考えて、利用の有無を選びましょう。
参考:https://daianshin.com/SHOP/18007/47753/list.html
企業・法人向け防災セットは見直しや入れ替えも定期的に行おう
企業・法人向け防災セットの見直しや入れ替えが必要な理由や作業をするのに適した時期、見直しや入れ替えを上手に行うコツを解説しました。企業・法人向け防災セットを災害時や非常時に適切に活用するには、定期的な見直しや入れ替えが必須です。備蓄とともに、見直しや入れ替えなどの管理体制や計画もしっかり立てて災害に備えましょう。