雪やホワイトアウトなどの影響で車が動かなくなった、動かない車のあとに渋滞が起きた、などでスタックや長時間立ち往生をしてしまうことがあります。
今回の記事では、営業車や社用車でスタックや立ち往生をしてしまったときの対策方法を解説します。やってはいけないことや、立ち往生への備えとして備蓄すべきも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
営業車や社用車がスタックしてしまったときの対処方法
営業者や社用車がスタックしてしまったときの対処方法や注意点を解説します。
スタックとは
スタックとは、雪道などでいくらアクセルを踏み込んでも空回りしてしまい、車が前後に進めなくなる状態のことです。タイヤが雪に入り込んだ状態でアクセルを踏み込むと、摩擦熱によって雪が溶けていきます。そのためタイヤが滑って空回りしてしまい、スタックしてしまうのです。
スタックした場合の対処手順
スタックは初期状態なら自力で脱出可能な場合があります。営業車や社用車でスタックしてしまった場合の対処方法は、以下の通りです。
- タイヤの前後に雪がある場合はスコップなどで取り除く、または足で踏み固める
- タイヤをまっすぐにする
- アクセルは不用意に踏み込まず、ゆっくりと小刻みに前進、バックを繰り返す
- 雪を踏み硬めながら発信する
- タイヤの接地部分の奥までチェーン、緊急脱出用ヘルパー、布、車の足元に敷くフロアマットなどのいずれかを敷く
- ゆっくりアクセルを踏む
- FF車(前輪駆動、アクセルを踏んだときに前輪が回る)はハンドルをこまめに切って雪を踏み固めながら発進する
- FR車(後輪駆動、アクセルを踏んだときに後輪が回る)は後輪の荷重を重くしてから発進する
- 同乗者や通りがかりのドライバーに車を押してもらう
- タイヤの空気を抜いて空気圧を下げる
- 雪面への設置面積を増やしてゆっくり発信する
- グリップ力を増加するために、スタックしたタイヤの下と、タイヤの外周に砂または融雪剤を振りかける
- 上記の方法で脱出できない場合は、JAFやロードサービスへ連絡する
スタックへの対処時に注意すべきポイント
スタックへの対応の際に、協力者などを巻き込んで事故になってしまうことがあります。安全にスタック時の対応をするために、以下のポイントに注意しておきましょう。
- 車が急発進することがあるため、ドライバーや車を押している人は車の動きには十分注意する
- 接地部分に噛ませたものが勢いよく後方に飛び出すことがあるので注意する
- タイヤの空気圧を抜いたあとは、ガソリンスタンド適正な空気圧に戻す
- FR車の荷重は同乗者に後部座席に乗ってもらう、荷物をトランクに詰めるなどして高くする
- 使った布や板などの後始末を忘れないように行う
- スタック時ガードレールや塀などを壊してしまった場合、道路管理者や所有者に連絡する
- 手助けしてもらった場合必ず感謝を伝える
営業車・社用車で大雪での立ち往生は一酸化炭素中毒に注意
営業車・社用車で大雪によって立ち往生となった場合、一酸化炭素中毒のリスクがあります。一酸化炭素中毒とは、一酸化炭素を吸い込んだ影響で以下の症状が出る状態です。
- 酸欠による疲労感・頭痛・吐き気・視力障害など
- 重度の症状になると痙攣(けいれん)・意識障害・昏睡状態に陥ることがある
- 最悪の場合、心肺機能の停止による死に至ることもある
車のエンジンから排出される排気ガスには、一酸化炭素が含まれています。立ち往生した車の排気口(マフラー)が雪などで埋もれてしまうと、排気ガスが床下などに溜まってしまう可能性が高くなります。車のボディの隙間や外気導入口から、排気ガスが社内に入り込み、一酸化炭素中毒となるリスクがあるのです。
車に搭載されている一酸化炭素を除去する排気ガス浄化装置は、車内の温度が一定以上にならないと作動しません。そのため、大雪で立ち往生したときには機能しないことを覚えておきましょう。
立ち往生時に一酸化炭素中毒を防ぐための対策として有効なのが、なるべくエンジンを切っておくことです。
営業車・社用車が大雪で立ち往生したときの対処手順
大雪によって営業車・社用車が立ち往生してしまったときの正しい対処手順は、以下の通りです。
大雪で車が立ち往生してしまった場合は、排気口周辺をこまめに除雪しましょう。ここでは大雪で車が立ち往生した際の注意点を詳しく解説します。
- 排気口周辺の除雪を行う
- 運転席のドア付近の除雪を行う
- 体温が下がらないように対策をする
- エンジンをかける場合はこまめに換気をする
まず一酸化炭素中毒を防ぐために排気口周辺の除雪を行います。除雪をするときには周辺の安全を確保しましょう。立ち往生が長時間解消しないことを踏まえて、広い範囲を除雪しておくことをおすすめします。車のドアがひとつ以上開閉できるように、運転席のドア付近も除雪しておきましょう。除雪のスコップやシャベルなどがない場合には、周囲の車に協力を求めましょう。
除雪の際には、体力が奪われないように以下のような方法で体温を確保しましょう。
- 上着などを羽織る
- 軍手やゴム手袋を使う
- 除雪ができている場合はエンジンをかけて車内の温度を保つ
防寒着や毛布などの備蓄があり、エンジンをかけなくても防寒ができる場合は、エンジンをかけずに燃料を節約しても問題ありません。無理のない範囲で行いましょう。防寒が難しい場合も、周辺の車に協力を仰ぐのがおすすめです。
エンジンをかける場合は、一酸化炭素中毒を防ぐために定期的に換気を行います。頭痛や吐き気といった一酸化炭素中毒が疑われる症状が出た場合、すぐにエンジンを停止して換気をしましょう。
体力がない、降雪量が多く除雪ペースが間に合わない場合は、一酸化炭素中毒防止のためにエンジンを切ります。可能な限りの防寒対策を行いましょう。
営業車・社用車に備蓄しておくべきアイテム
スタックや大雪での立ち往生対策のために、営業車・社用車に備蓄しておきべきアイテムを以下にまとめました。
- 保存食
- 保存水
- 携帯トイレ
- 防寒グッズ(毛布、アルミシート、使い捨てカイロなど)
- 充電グッズ
- 衛生用品
- 応急処置・救急用品
- 作業用グローブまたは軍手
- 除雪用スコップやシャベル
- スタック対策のチェーン、緊急脱出用ヘルパー
- ライトや懐中電灯
- ホイッスル、ペンライト
- メモ帳や筆記用具
- 脱出用ハンマー
特に長時間立ち往生が続く場合、トイレが使用できる範囲にあるとは限りません。携帯トイレを用意しておけば安心です。
マイレットの災害用トイレ(非常用トイレ)一覧はこちら
車内防災のために営業車・社用車に備蓄しておくべき防災グッズについては、以下の記事でくわしく解説しています。
車内防災をはじめよう!社用車・営業車に備えておくべき防災グッズ12選を解説
まとめ
営業車・社用車でスタックや立ち往生したときの対処方法や車内で備えるべきアイテムを紹介しました。雪の多い地域や積雪が見込まれるときに営業車や社用車を使うときには、スタックや立ち往生の可能性があります。万が一のときに備えて、日頃から正しい対処法を覚えて、車内の備えも行っておきましょう。