ソフト防災・ハード防災とは?災害対策の具体例を解説

ソフト防災・ハード防災とは

いつ起きるか分からない災害に対して、家庭や企業でさまざまな防災対策を行うことも当たり前になりました。防災対策には、ソフト面・ハード面での対策があることをご存知でしょうか。ソフト防災・ハード防災にはそれぞれ目的や取り組み方が異なります。ソフト防災・ハード防災についてしっかり理解し、防災対策を行うことが重要です。
今回の記事では、ソフト防災、ハード防災それぞれの概要や具体的な災害対策方法について解説します。

ソフト防災・ハード防災とは

ソフト防災とは無形の方法での災害対策のことです。具体的には情報や訓練を活用した防災対策を指します。一方でハード防災とは有形の方法での災害対策を指し、物理的な取り組みによる防災対策が該当します。

これを踏まえて、ソフト防災とハード防災それぞれの具体的な災害対策例を次に紹介します。

ソフト防災の具体例

ソフト防災に該当する災害対策の例を順に解説します。

避難訓練

災害時の安全確保やパニック防止のために実施されるのが、防災訓練です。学校や企業などが実施する避難訓練もあれば、地域や自治体が主催・実施している市民参加型の防災訓練もあります。

防災訓練を通じて、火災や地震、津波など発生する災害に対して適切な行動を学びます。避難訓練を実施することで迅速な避難と人命を守ることにつながるでしょう。地域が開催する避難訓練や防災訓練に参加することも可能です。災害への備えとともに、いざというときの地域社会や周辺の人との協力関係もあらかじめ構築できます。

なお、企業には防災訓練の実施が義務付けられています。企業の防災訓練の重要性や、実施すべき訓練については以下の記事で詳しく解説しています。
企業の防災訓練は義務!重要性や実施すべき防災訓練を解説

ハザードマップの作成・確認

ハザードマップの作成・確認
ハザードマップとは、災害発生時に被害が想定される区域や避難場所・避難所、経路などが表示された地図です。災害の種類や媒体により、以下の種類があります。

ハザードマップの種類 特徴
地震防災マップ 内閣府の「地震防災マップ作成技術資料」にもとづき作成。以下の情報が記載されていることが多い

・想定される地震による震度

・想定される被害の大きさ

・地盤状況

・危険度

土砂・洪水ハザードマップ 豪雨や土地の動きにより土砂災害や洪水が起きやすい区域が記されている。以下のハザードマップの種類がある

・土砂災害警戒区域

・特別警戒区域

・洪水浸水想定区域

内水ハザードマップ 豪雨災害の多い地域を記したハザードマップ
ため池ハザードマップ 堤体の決壊リスクが高い地域を記したハザードマップ
液状化ハザードマップ 地域ごとの液状化発生傾向や危険度を分析したハザードマップ
津波・高潮ハザードマップ 津波や高潮が発生する可能性のある海岸沿いの区域を記したハザードマップ
Webハザードマップ パソコンやスマートフォンなどのWeb上で閲覧できるハザードマップ

国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」が代表的

ハザードマップの作成・確認を行うことで居住地や勤務地の安全確認につながります。ハザードマップを通じて発生する可能性の高い災害の種類や危険となる地域、災害発生時の避難経路などを日頃から確認しておきましょう。

防災マニュアルの作成

家庭や企業で災害発生時の行動指針をマニュアルとして作成する防災対策です。避難訓練やハザードマップと組み合わせることで、より災害時の細かい行動の想定ができます。

情報の活用

ソフト防災の代表的な取り組みとして、以下の情報を確認・活用する方法があります。

  • 避難情報
  • 防災情報
  • 気象情報 など

避難情報は、当該地域の公式サイトをはじめ、学校、企業などで公開しています。防災情報や気象情報は、テレビやWeb上のSNS、ポータルサイトなどの各メディアで確認可能です。台風や大雨など、発生が予測される場合に事前に情報収集ができる災害発生時は、防災情報や気象情報をあらかじめ確認することで、備蓄や避難場所の確認などの備えにもつながります。

各情報の取得や確認には、「防災アプリ」も役立ちます。防災アプリとは、ユーザーの居住地や近隣地域を基準とした災害情報や避難情報などを提供するツールです。災害発生時には、アラートやプッシュ通知により災害発生情報を知らせてくれます。

防災アプリは、自治体や企業からリリースされているものなどさまざまな種類があります。特に県や市や関連機関(消防本部など)、大企業から提供されている防災アプリなら機能性と信憑性の両方ですぐれているものが多くあるでしょう。

土地利用規制

土地利用規制とは、災害などのリスクが高い地域に対し、住居や事業所、通行などの使用を制限することです。特に土砂崩れや津波へのリスクが高い地域への対策として全国的に導入されています。たとえば以下のような規制が行われます。

  • 土砂の危険性のある地域は土地開発を行わない
  • 津波の恐れのある地域には病院や福祉施設を建設しない
  • 災害リスクの高まる場所を特別警戒区域に指定し、建設できる建物の形状を限定する など

居住地や勤務地の建物のある場所、または今後住宅や建物を建てたい場所の土地利用規制を知ることで、将来的な災害リスクへの対応にもつながります。

備蓄品の準備と確認

防災備蓄は実際に災害が起きてからの避難や生活を考える取り組みであり、ソフト防災に該当します。日頃から備蓄の準備や確認を行いましょう。

防災用品リストや、車載防災については以下の記事でくわしく解説しています。
防災用品リストと防災グッズの重要性を防災士が解説!
車内防災をはじめよう!社用車・営業車に備えておくべき防災グッズ12選を解説
「水のいらない」災害用トイレ一覧はこちら

ハード防災の具体例

災害対策のための以下のような物理的な取り組みが、ハード防災に該当します。

  • 防波堤の建設
  • 住宅や建物の耐震補強
  • ダムの建設
  • 堤防の建設
  • 制震・免震装置の導入
  • 家具や家電の転倒防止対策
  • 窓ガラスの飛散防止対策 など

ハード防災は大規模な設備の設置など莫大な費用がかかるものや、国や自治体が主体となって取り組む対策も多くあります。

ソフト防災はハード対策と比較すると、コストも低くすぐに実施できるものも多いです。ただし、ハード防災のように直接多くの人命を守れる対策力は低くなっています。大切なのは、ソフト防災とハード防災を組み合わせて実施することです。情報や訓練、物理的な対策いずれかに偏った防災対策では、万全な備えとは言えません。まずは今日からできる範囲で、さまざまな防災対策に取り組むことが重要です。

まとめ

ソフト防災とハード防災の概要と、具体的な防災対策について解説しました。ソフト防災とハード防災いずれかを行うのではなく、できる範囲で組み合わせて実施することで、防災への対策強化につながります。

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