津波対策とは?日頃の備えやいざという時に身を守る方法を解説

地震が引き起こす二次的な災害のひとつに「津波」があります。津波は発生頻度は多くないものの、発生すると甚大な被害を引き起こす災害です。日頃から準備をしておき、津波に備えておきましょう。今回の記事では、津波による被害を軽減するために日頃から備えておくべきポイントや、津波襲来時に身を守るための行動を解説します。

津波の基本知識

津波に関する基本情報をまとめました。

津波とは

津波とは、潮汐を除いた気象学以外の自然現象によって生じる波と定義されています。

津波の発生要因

津波の発生する要因はさまざまです。地震をはじめ、火山噴火、斜面の崩落による土砂の流入、海底の地滑り、隕石の落下などが原因で、津波が発生します。なお地震によって発生する津波は「地震津波」、地震以外の要因で発生する津波は「非地震性津波」と分類されています。

津波発生のメカニズム

地震津波は、海底下の比較的浅いところ(0〜60km)を震源に大きな地震が発生することで発生します。地震による断層運動によって変動した海底の地形が海水に伝わることで、海面が上下し、津波が発生します。なお地震の揺れそのものも海水に伝わりますが、波長が短いため海水に伝わってもすぐに消失するため、地震の揺れそのものが津波を引き起こすわけではありません。

非地震性津波は、火山噴火で崩落した山体や崩落した斜面、土砂、隕石などが海に入り込むことで海底の地形が変動し、津波が発生します。

津波の持つ特性

津波から身を守るためには、津波の持つ特性を理解しておくことが重要です。津波の持つ特性を順に解説します。

地震の揺れが弱くても発生する可能性がある

地震の揺れそのものは小さくても、大津波が発生することがあります。たとえば1896年の明治三陸地震では、震度は2〜3だったものの、地震からおよそ30分後に38mもの大津波が襲来し、歴史上最大の死者を出す甚大な災害となりました。このように、小さな地震から発生する大津波は「津波地震」と呼ばれます。

地震の揺れの強さが弱くても、断層の動きによる海底下の断層破壊の規模は変わりません。そのため、地震の揺れが小さくても海底下の段層が破壊されることで、大津波が引き起こされます。なお、地震による津波の約10%は、津波地震によるものとされています。

地震を感じなくても発生することがある

遠隔地で発生した地震による津波が、海をわたって襲来することがあります。このような津波は「遠隔津波」と呼ばれます。たとえば2004年に発生したスマトラ島沖巨大地震では、地震をまったく感じていないスリランカやインドの沿岸にも、津波が襲来しました。日本で
は1960年に発生したチリ地震津波が、遠隔津波にあたります。

ジェット機並みの速さがある

津波が伝わる速度はV=√ghという式で算出されます。水深4,000mの海の場合を算出すると、津波の伝わる速さはジェット機と同程度の時速約700mになります。津波は一山ごとの波長がとても長く、先端は浅海に近づくにつれてスピードを落としていきます。ところが、後続部分は深海のためスピードは速いままです。後ろが前の波に次第に追いつくようになり、波長がしだいに短くなり、短くなることで波の高さが増すことで、津波が発生します。

何度も来る

沿岸では、ある程度の時間を置いて津波が何度も襲来します。さらに第一波よりも第二波、第三波の方が高くなるケースが多いです。

湾奥で高くなる

津波は湾奥で高くなる特性があります。入り口が広く、奥に行くほど狭くなる湾は、津波のエネルギーが奥に集中し、波高が高くなるためです。東日本大震災では、リアス式海岸である三陸海岸で津波による甚大な被害が発生しました。

川や運河を遡る

津波は必ず川や運河を遡る性質があり、時には内陸深くまで侵入することもあります。2011年の東日本大震災では北上川を40km以上津波が遡りました。1854年の安政南海地震では、地震から2時間後に津波が大阪湾に達し、大阪市内の川や堀をさかのぼり、市内だけで340人あまりの吸い死者が出ました。

津波に備えて日頃から行っておく準備

津波に備えて日頃から行っておく準備

津波に備えて日頃から行っておくべき防災対策を解説します。

迅速な避難行動につなげるための情報収集をする

津波は速いスピードで到達するため、津波が発生したときには迅速な避難行動が必要です。日頃から津波避難所や経路、避難手段などを確認しておきましょう。

避難のための防災用品をまとめておく

自宅が沿岸や河川に近いなど、自宅からの避難が必要な場合もすぐに避難できるように、防災用品をまとめておきましょう。大地震や大津波発生後はインフラの寸断も予想されます。水や食料といった防災用品だけでなく、非常用トイレも備えておくと安心です。

持ち出し避難で備えるべき防災グッズや量はこちらの記事でくわしく解説しています。
持ち出し避難、在宅避難の防災グッズの記事へ内部リンク

津波ハザードマップを確認する

全国の海岸関係市町村では、津波ハザードマップを作成、公開しているところがあります。津波ハザードマップから津波発生時危険となる場所を知っておくことで、津波発生時の適切な行動につながります。
企業・法人向け防災用品・防災グッズについては、以下の記事で詳しく解説しています。
企業・法人向け防災用品・防災グッズを災害別に防災士が解説します

津波発生時身を守るための行動

津波が発生したときに、自分や家族の命を守るための具体的な行動を解説します。

地震を感じたらすぐに避難する

沿岸で強い揺れを感じたら、津波が襲来する可能性があります。地震の揺れが弱くても、津波地震が発生する可能性は0ではありません。ただちに海岸から離れて、安全な場所に避難するようにしましょう。特に津波の初動は引き波とは限らず、押し波が突然現れることもあります。海面の変動を確認してからの行動では間に合わない可能性があるため、すぐに海岸から離れるようにしましょう。

高台や鉄筋づくりのビルへ避難する

津波から身を守るには、山や高台などの高い場所への避難が鉄則です。背後に高台がない場合は鉄筋コンクリート造の建物の、できるだけ高い階へ避難しましょう。

徒歩で避難する

自動車で避難すると渋滞が発生する可能性があり、津波の到達に間に合わない可能性があります。原則徒歩で避難するようにしましょう。

注意報でも軽視しない

津波警報が出るとすぐに避難行動へ移る人が多い一方、津波注意報では特に危機感を持たない、という人もいるかもしれません。津波注意報は、予想される波の高さが20cm~1mのときに発令されます。50cmの津波でも、小さな子どもは流される可能性があります。海水浴場などの人が密集している沿岸では、大人でも流されてしまうかもしれません。津波注意報が出た場合も軽視せず、ただちに海岸から離れるようにしましょう。

第1波襲来後でも避難は継続する

津波は繰り返し来る性質があり、第1波よりも第2波、第3波は高くなる傾向にあります。第1波襲来後でも油断せず、避難は継続するようにしましょう。

まとめ

津波の特性や津波への日頃の備え、津波襲来時の身を守るための行動を解説しました。東日本大震災や能登半島地震をはじめ、近年でも津波による甚大な被害を出した震災が発生しています。日頃の備えといざというときに適切な行動が取れるようにして、津波から身を守りましょう。

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