企業の防災・BCP対策に活用できる補助金・助成金、支援制度を紹介

企業の防災・BCP対策に活用できる補助金

いつ起きるかわからない災害に備えて、企業にも防災やBCP対策が求められています。企業の防災・BCP対策を進めたいと検討していても、資金面などで計画が立てられないということもあるかもしれません。企業の防災・BCP対策のための補助金や助成金、支援制度を活用し、自社の防災・BCP対策を進めましょう。

企業の防災・BCP対策で活用できる補助金・助成金

企業の防災・BCP対策で活用できる補助金・助成金を順に紹介します。

地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金

「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金」とは、介護施設や高齢者施設における防災や減災対策を目的とした改修や設備の整備に対して支払われる補助金です。

以下の改修や設備の整備に対して、補助対象経費全額の補助または事業者の支払いが1/4になります。

  • スプリンクラー設備等整備
  • 水害対策強化事業
  • 耐震化整備
  • 大規模修繕等
  • 非常用自家発電設備整備
  • 給水設備整備
  • ブロック塀等改修整備

BCP実践促進助成金

「BCP実践促進助成金」とは、中小企業者等のBCPの取り組みの支援を目的に、策定したBCPを実践するために必要となる基本的な物品・設備等の導入に要する経費の一部を助成する助成金です。

助成対象となる経費は以下の通りです。

  • 自家発電装置、蓄電池
  • 安否確認システム
  • 感染症対策の物品
  • 従業員用の備蓄品
  • 土のう、止水版
  • 転倒防止装置等
  • データバックアップ専用のサーバー(NAS)
  • クラウドサービスによるデータのバックアップ
  • 基幹システムのクラウド化
  • 耐震診断 等

申請の種類は1事業者が単独で使用する「単独型」と複数事業者間で共用する「連携型」があり、単独型は中小企業1/2、小規模企業者2/3以内、連携型は中小企1/2の経費が助成されます。いずれの申請にも、BCPの作成が必須です。

IT導入補助金

IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者の労働生産性向上を目的とした業務効率化やDXに向けたITツールの導入を支援する補助金です。「通常枠」「複数社連携IT導入枠」「インボイス枠・インボイス対応類型」「インボイス枠・電子取引類型」「セキュリティ取引推進枠」の5つの枠があり、それぞれの枠で補助金の対象となるITツールの種類が決まっています。

IT導入補助金には、BCP対策のためのクラウドサービスやITツール、システムやソフトウェアの導入経費が該当します。補助枠は通常枠およびセキュリティ取引推進枠が1/2(最大450万円)、インボイス枠が1/2〜4/5(5〜100万円)の経費が補助されます。

自治体独自の補助金・助成金

自治体独自の補助金
企業のある自治体で、独自の補助金や助成金を設けていることがあります。たとえば東京都の「BCP実践促進助成金」や新潟県長岡市の「BCP・事業承継・経営改善補助金」などが該当します。

企業のある自治体で防災やBCP対策で活用できる補助金や助成金がないかを調べてみましょう。補助金や助成金の情報は、自治体の公式サイトに掲載されています。

企業の防災・BCP対策に活用できる支援制度

企業の防災・BCP対策に活用できる支援制度を順に解説します。

社会環境対応施設整備資金融資制度

社会環境対応施設整備資金融資制度」は、政府金融機関が企業のBCP策定のための設備導入を支援する制度です。以下に該当するBCP実行のための設備資金や運転資金として、日本政策金融公庫または沖縄振興開発金融公庫から施設整備に必要な資金の融資を受けられます。
・施設の耐震のための設備
・消防用の設備
・パソコン等のデータをバックアップするためのサーバ等
・防災のための施設設備

貸付限度額は直接貸付:7億2,000万円(うち、運転資金2億5,000万円)、代理貸付:1億2,000万円です。

融資を受けるには、BCPの策定または連携事業継続力強化計画の認定(変更認定を含む)を受けた認定連携事業継続力強化の実施が必須です。

中小企業防災・減災投資促進税制

中小企業防災・減災投資促進税制は、中小企業の自然災害等への対策を強化するために、BCPの認定後1年以内にの設備投資を行った場合に特別償却18% (令和7年4月1日以降に取得等をする場合は16%)を適用できる制度です。

減価償却対象となる資産の種類は以下の通りです。
機械および装置(100万円以上)

  • 自家発電設備
  • 浄水装置
  • 揚水ポンプ
  • 排水ポンプ
  • 耐震・制震・免震装置等

器具および備品(30万円以上)

  • 自然災害等の発生が事業活動に与える影響の軽減に資する機能を有する全ての設備
  • 感染症対策のために取得等をするサーモグラフィ

建物附属設備(60万円以上)

  • 自家発電設備
  • キュービクル式高圧受電設備
  • 変圧器
  • 配電設備
  • 電力供給自動制御システム
  • 照明設備
  • 無停電電源装置
  • 貯水タンク
  • 浄水装置
  • 排水ポンプ
  • 揚水ポンプ
  • 格納式避難設備
  • 止水板
  • 耐震・制震・免震装置、架台(対象設備をかさ上げするために取得等するものに限る)
  • 防水シャッター等

(これらと同等に、自然災害の発生が事業活動に与える影響の軽減に資する機能を有するものを含む。)

制度を利用するには、令和7年3月31日までに「事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画」の認定を受ける必要があります。

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事業継続力強化計画認定制度

事業継続力強化計画認定制度」とは、中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を、経済産業大臣が「事業継続力強化計画」として認定する制度です。中小企業を対象とした。簡易なBCPと位置付けられています。

認定を受けることで、税制措置や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けられます。事業継続力強化計画の申請手続きは、中小企業庁の電子申請システムから申請可能です。

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防災やBCPに補助金・助成金・制度を活用する場合の注意点

防災やBCP対策に補助金・助成金・制度を活用することでおもに資金面で大きなメリットが得られる一方、注意点もあります。申請前に覚えておきたい注意点を解説します。

時期に余裕を持って申請する

補助金や助成金の給付や制度による措置を受けるのには申請からある程度の日数がかかります。さらに、毎年応募期間が決まっている補助金や助成金、制度もあります。募集枠が埋まってしまうと早めに応募を締め切られてしまうことも多いです。

確実に補助金や助成金、制度を活用するためにも、時期には余裕を持って早めに申請するようにしましょう。

必ずしも給付が受けられるとは限らない

補助金や助成金、制度は申請後に審査があります。審査に通ることで給付や措置を受けられます。当然審査に落ちてしまうと給付や措置は受けられないため、審査基準を満たせるように計画的に設備導入を進めたり、必要な書類をそろえたりといった準備が必要です。

また、補助金は審査が通っても必ずしも給付されるとは限りません。助成金は審査に通れば給付を受けられます。

補助金や助成金は後払いが原則

補助金や助成金は、申請後に後払いが原則です。つまり、防災やBCP対策にシステムや機器を導入する予算として補助金や助成金を使うことはできません。あらかじめ全額を負担する必要があるため、資金はしっかりと準備しておきましょう。

まとめ

企業の防災やBCP対策で活用できる補助金や助成金、制度を紹介しました。防災やBCP対策には一時的に資金が必要となりますが、補助金や助成金、制度を活用することで資金面でのサポートが受けられます。上手に活用し、自社の防災やBCP対策を進めましょう。

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