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帰宅困難者とは?
帰宅困難者とは勤務時や外出時に地震などの災害に遭遇し、自宅への帰宅が困難となった人たちを指します。平成24年4月に首都直下地震帰宅困難者等対策協議会が発表した首都直下地震による東京の被害想定では、東京都内で517万にも及ぶ帰宅困難者が発生すると予測されています。
膨大な外出者が一斉に帰宅行動をとると、道路は人であふれ混乱し、応急活動の妨げとなり二次災害の危険性も高まります。
こういった帰宅困難者等の一斉帰宅を抑制するためには、地震発生時に「むやみに移動を開始しない」ことを呼びかけ、家族の安否や被害状況、公共交通機関の復旧見直し等の情報を帰宅困難者が入手できるようにすることが重要です。
東日本大震災での帰宅困難者の状態
2011年3月11日に起きた東日本大震災では首都圏でも震度5強が観測されました。
鉄道などの公共交通機関が停止してしまったため、大量の帰宅困難者(515万人)が発生し、徒歩帰宅者や車両が道路にあふれかえる大混雑に陥りました。
関東地方在住で電車や車を利用して通勤している人が、震災後帰宅するのにかかった時間は平均で約7倍にも達し、帰れないと判断し勤務先や駅周辺、東京都が開設した施設などで一夜を明かした人も多くいました。
地震発生後から翌日にかけて首都圏では猛烈な渋滞が発生したため、災害現場に向かうパトカーや救急車などの緊急車両の通行が妨げられ問題となりました。
東日本大震災から学ぶ帰宅困難者対策
東日本大震災での首都圏帰宅困難問題から、東京都では2013年4月から帰宅困難者対策条例を施行しました。
東京都帰宅困難者対策条例の概要
都民の取組
- 災害時には、むやみに移動を開始せず、安全を確認した上で、職場や外出先に待機して下さい。
- 安心して職場に留まれるよう、あらかじめ家族と話し合って連絡手段を複数確保するようにして下さい。
- 安全確保後の徒歩帰宅に備え、あらかじめ経路を確認するとともに、歩きやすい靴などを職場に準備しておいて下さい。
事業者の取組
- 施設の安全を確認した上で、従業員を事業所内に留まらせて下さい。
- 必要な3日分の食料や水などを備蓄に努めて下さい。
事業所はあらかじめ、従業員との連絡手段を確保するとともに、従業員に対して家族等との連絡手段を複数確保することなどを周知して下さい。
地震が起きた時に帰宅困難者が増えないよう、しっかり準備をしておきましょう。
帰宅支援
東京都では徒歩で帰宅する人を支援するため、水やトイレなどを提供する災害時帰宅支援ステーションを確保する取組を始めています。
コンビニエンスストアやガソリンスタンドなどを災害時帰宅支援ステーションとする協定を結び、都立高校を災害時帰宅支援ステーションとし、休息場所を確保しています。
このうちトイレについては、中央防災会議の専門調査会が公表したシミュレーションによると、首都直下地震が発生した場合、東京23区ではトイレが大幅に不足し、発生から2時間後には約81万7,000人がトイレに行けない状況になると試算されています。
このことからトイレ不足は食糧や水と同様に被災後の最重要問題のひとつとして挙げられます。対策としては企業での災害用トイレ・簡易トイレの備蓄、個人でも携帯トイレを常備するなど、日頃から備えることが求められています。
まとめ
- 首都直下地震では東京都内で517万にも及ぶ帰宅困難者が発生すると予測されています!
- 帰宅困難者を減らすために震災後のむやみな移動は控えましょう!
- 安全確保後の徒歩帰宅に備え、あらかじめ経路を確認するとともに、歩きやすい靴などを職場に準備しておいて下さい!
- トイレ不足対策を日頃から備えておきましょう!