大規模な災害発生時はライフラインが寸断され、停電や断水などの被害が出ます。災害の規模によっては、広範囲において停電が続くブラックアウトが発生する恐れもあります。ブラックアウトが発生すると電気が使えなくなることにより、交通インフラや物流など幅広い分野で悪影響が出る恐れがあります。本記事では、日本初のブラックアウトが発生した北海道胆振東部地震の事例と、ブラックアウト発生を前提に日頃行うべき備えについて解説します。ブラックアウトの概要についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
ブラックアウトとは
ブラックアウトは取り扱う分野や文脈によって、幅広い意味を持ちます。災害におけるブラックアウトの意味と、他の言葉の意味を紹介します。
災害におけるブラックアウトとは大規模停電を指す
まず災害におけるブラックアウトとは、大手電力会社が管轄する地域のすべてで停電が起こる現象(全域停電)のことです。電力ブラックアウトとも呼ばれています。なお海外において同様の停電が発生した場合、全管轄地域ではなく規模の大きな停電の場合でもブラックアウトと呼ぶことがあります。
本記事では、全域停電・大規模停電の意味としてのブラックアウトを取り扱います。
その他のブラックアウトの意味
英語のblack outには停電や暗転といった意味があり、ほかにもスラングとしてお酒やドラッグなどの影響で記憶を失う、という意味もあります。
全域停電・大規模停電以外の「ブラックアウト」の意味を以下にまとめました。
- 記憶喪失、記憶が飛ぶこと
- 一時的な機能損失
- 報道規制
- 灯火規制
- 舞台などの暗転
- 一部地域を対象にスポーツ番組などを放送すること
- 直射日光や温度上昇の影響によりデジタルサイネージ画面の一部が黒く変色すること(ブラックアウト現象)
- 中央銀行の金融政策決定会合前後に、会合参加メンバーが金融政策に関する対外発言を制限される期間(ブラックアウト期間)
北海道胆振東部地震での北海道ブラックアウトの事例
日本初のブラックアウト発生事例が、2018年9月6日に北海道全域で発生した大規模停電(北海道ブラックアウト)です。発生原因やブラックアウトによる被害、復旧までについて解説します。
北海道ブラックアウトの発生原因
北海道ブラックアウトの起因となったのが、北海道胆振地方中東部に2018年9月6日早朝に発生した「北海道胆振東部地震」です。北海道初の震度7を記録した地震となり、震度6弱を観測した札幌市などでの液状化や震源地周辺での山の崩落により、北海道全体では死者44人、多くの家屋の倒壊といった甚大な被害が発生しました。
地震がきっかけにはなったものの、以下のような複合的な要因で北海道ブラックアウトが発生しました。
- 電力供給源となる火力・風力・水力発電所の停止
- 電気の送電線の損傷
- 周波数制御機能の不足
- 北海道と本州の電気系統の連携不足
- 関係各所(電力会社、政府、自治体)間での連携不足
北海道ブラックアウトによる被害
北海道ブラックアウトにより、北海道全域の約90%に該当する295万戸が停電しました。
おもな被害は以下の通りです。
- 電気機器・通信機器の使用不可
- 水道の断水
- 交通機関(電車、バス、飛行機)の停止
- 医療機関の機能停止(手術や透析治療ができないなどの影響)
- 企業の操業停止
電気が使えなくなることで発生した被害は、一般家庭の範囲を超えて公共交通機関や医療機関などの生活インフラ、企業などの経済活動停止など、多くの範囲に及びました。北海道ブラックアウトにより発生した北海道経済の損失は、約5,000億円と推測されています。
北海道ブラックアウトから要した復旧時間
北海道ブラックアウトは、全区域の復旧まで約25時間、およそ2日間がかかりました。停電発生後、ブラックアウト発生後に自家発電によって電力系統を復旧させる「ブラックスタート」を活用するなど迅速な復旧作業が行われましたが、最初に一部区域で送電が再開するまでに7時間を要しています。
また、都市部や医療機関などの重要施設から優先的に電力供給を行ったため、丸2日間以上電気が使えなかった、という家庭や企業もありました。ブラックアウトにより、北海道全体で大きな経済的損失や社会的活動の停止が発生してしまったことになります。
ブラックアウトが発生するおもな原因
北海道胆振東部地震による北海道ブラックアウトの事例からも分かるように、ブラックアウトはおもに大きな災害を起因とし、複雑な要因が絡んで発生します。おもなブラックアウト発生の原因を順に解説します。
自然災害
ブラックアウトの発生するおもな原因のひとつに、地震や豪雨、台風、洪水などの自然災害があります。自然災害によって発電や送電に関連する設備がダメージを受けると電力供給が停止し、ブラックアウトまで拡大するおそれがあります。
電力系統のトラブル
ふたつめの原因が、発電所や送電線、制御装置といった電力系統に故障や誤作動といったトラブルが発生し、正常に機能しなくなることです。電力供給が徐々に失われ、ブラックアウトとなる場合があります。
外部攻撃などの人為的な要因
送電は配電設備の人の手による誤作動や、サーバー攻撃やテロ行為といった外部攻撃を受けて電力関連設備に損傷を受けるなど、人為的な要因でブラックアウトが発生する可能性があります。
ブラックアウトや大規模災害が発生する前にやっておきたい備え
ブラックアウトが発生すると、一般家庭でも長期間電気が使えず不便な生活を強いられるようになります。ブラックアウトを含め、停電の可能性のある大規模災害発生に備えて、停電対策として以下の備えをしておきましょう。
- 明かり(乾電池や手回し・太陽光発電で発光するライト、ランタン、懐中電灯など)
- 情報収集源(ラジオ、スマートフォン)
- 電気を使わない冷房器具(ハンディ扇風機、乾電池クーラーなど)
- 電気を使わない暖房器具(石油ストーブ、石油ファンヒーター、カイロなど)
- 電気を使わない調理器具(カセットコンロなど)
- 飲料水、非常用トイレ(マンションなどで断水する場合)
生活するためや防犯用の明かりや、停電時の情報収集源は必須です。モバイルバッテリーで充電できるものもありますが、モバイルバッテリーを使い切ってしまうと充電できなくなります。乾電池や太陽光など別の方法で給電できるものを準備しておきましょう。
マンションなどの場合、水道を電気によって動かしているため停電が発生すると断水が起こります。飲料水や生活用水はもちろん、非常用トイレ(防災トイレ、携帯トイレ)の準備もしておきましょう。
いずれの備蓄も、地震や風水害などの大規模災害発生時の備えに含まれています。以下の記事もぜひ参考にしてください。
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まとめ
ブラックアウトの言葉の意味と日本におけるブラックアウトの事例、発生原因、やっておくべき備えについて解説しました。ブラックアウトは日本では北海道胆振東部地震の1例のみですが、ブラックアウトを引き起こす自然災害やサイバー攻撃などはいつ起きてもおかしくありません。停電を含めた災害や非常時への備えを日頃から行っておきましょう。
