冬場は建物火災や住宅火災が発生しやすい季節です。電気ストーブや石油ストーブ(オイルヒーター)、こたつなどの暖房器具に加えて、コンロなどの火器も適切な取り扱いを心がけ、自宅や企業オフィスの火災発生を防ぎましょう。本記事では、冬に火災が発生しやすい理由やおもな火災の原因、火災を防ぐためにやっておくべき対策方法を解説します。
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冬に火災が発生しやすくなるおもな原因や理由
冬になると火災が発生しやすくなる、という情報を見聞きしたことがある方も多いかもしれません。実際に各自治体や関係組織からは、冬場の住宅・建物火災への注意喚起も多く行われます。冬になると火災が発生しやすくなる、おもな原因や理由を順に解説します。
空気が乾燥するから
空気は、温度が高ければ高いほど含有できる水蒸気が多くなるという性質を持っています。そのため、気温の高い夏の空気と比較すると、気温の低い冬の空気が溜め込める水蒸気が少なくなり、冬場の空気は乾燥しやすい状態が続きます。
また、冬になると西高東低の気圧配置が多くなることで、特に太平洋側は空気が乾燥しやすくなります。空気は気圧の高いところから低いところへ流れる性質を持っているため、西高東低の気圧配置の場合、シベリア大陸から流れてくる冷たく湿った空気は日本海側には雨や雪を降らせます。雨や雪となって降った分水分量が減った空気が太平洋側へ流れ込むため、太平洋側は冬場に空気が乾燥しやすくなります。
空気が乾燥した状態では、木や布、髪といった物質からも水分量が徐々に失われていきます。その結果、少し火がつくと物質が燃えやすくなったり、延焼しやすくなったりすることで、火災につながる恐れが高いです。
建物の水分量や温度が失われるから
空気が乾燥することで、住宅や建物に使用されている木材や資材に含有される水分量も少なくなっています。そのため、わずかでも火が付くとただちに燃え広がりやすくなり、火災が起きる可能性が高くなります。
また、築年数が古いなどで気密性や断熱性が低い住宅や建物の場合、室内の温度が下がりがちになります。室内の空気が含む水蒸気の量が減ることに加えて、乾燥した外気が隙間風として入りやすいことで湿度が下がりやすくなり、火災の発生リスクも高くなります。
暖房器具の使用機会の増加
冬になると気温が低くなることで、室内空間を暖かくするために以下のような暖房器具を使用する機会が多くなります。
- エアコン
- 石油ストーブ(オイルファンヒーター)
- 電気ストーブ
- こたつ など
暖房器具によっては、石油ストーブなど直接火を使用するものもあります。また、電気ストーブなど火を使用しない暖房器具でも、不適切な取り扱いによって火災の原因となることもあるため、注意が必要です。
静電気が発生しやすくなるから
さらに、空気が乾燥することで静電気も起きやすくなります。人間の体は水分のほか、ナトリウムやカリウムなどの電解質も含まれているため、電気を通しやすいのが特徴です。空気が乾燥すると、人間の表面にある水分量も減ることから、外へ電気を逃がしにくくなり、内側に電気をためやすくなります。外側から摩擦などの刺激を受けることで、体の中にたまった電気が放出されるのが、静電気の仕組みです。静電気の火花が可燃物に引火し、火災を引き起こすリスクがあります。
データから見る冬場の火災発生原因とは
総務省消防庁発表の「令和6年(1~12月)における火災の状況」によると、令和6年(1〜12月)における出火件数は37,036件で、このうち建物火災が20,908件で、全体の56.5%を占めました。さらに建物火災のみで内訳を見ると、住宅火災が11,232件で全体の53.7%を占めています。
建物火災のおもな火災発生原因の内訳は以下の通りです。
- こんろ 2,637件12.6%(内住宅火災1,698件15.1%)
- 電気機器2,022件9.7%(内住宅火災926件8.2%)
- たばこ1,705件8.2%(内住宅火災1,183件10.5%)
- 配線器具1,446件6.9%(内住宅火災755件6.7%)
- 電灯電話等の配線1,110件5.3%(内住宅火災554件4.9%)
寒い季節限定で使用する暖房器具を含む電気機器が、建物火災の火災原因第2位となっています。
冬場に使用機会の多くなる暖房器具を適切に取り扱うことが、住宅や建物の火災を防ぐ第一歩といえるでしょう。
参照:総務省消防庁|令和6年(1~12月)における火災の状況(概数)消防庁防災情報
冬場の建物・住宅火災を防ぐための対策方法

冬場の建物・住宅火災を未然に防ぐためにやっておきたい対策方法を順に解説します。
ストーブやファンヒーターへの対策方法
建物・住宅火災の原因第2位だった電気機器に含まれるストーブやファンヒーターは、冬場火災を引き起こしやすい原因のひとつです。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)では、ストーブやファンヒーターが原因の事故は毎年100 件以上発生しているとして、以下のような事故事例を挙げています。
- 就寝中電源を入れたままの電気ストーブに布団が接触して発火
- 石油ストーブの内部に蓄積した多量のすすが空気不足により逆流、ほこりに燃え移って発火
- 石油ファンヒーターのカートリッジタンクにガソリンを誤って給油、消火後再度点火しようとしたら揮発したガソリンに引火
- 使用者が石油ストーブを点火状態のまま給油、灯油がこぼれ高温状態の燃焼部などにかかり発火して火災に至る
石油・電気ストーブやファンヒーターなどの電気機器は、以下のように適切に取り扱いをしましょう。
- 可燃物の近くで使用しない
- 平らな状態で使用する
- 定期的に清掃を行い、ほこりやすすを取り除く
- ガソリンを誤給油しないよう保管方法や保管場所に注意する
- 暖房器具はつけたままにしない
- 石油ストーブなどは給油時に必ず消火する
- 電気ストーブや電気ファンヒーターの電源コードを引っ張らない、折り曲げない
- 臭い、音などの異常がある場合は使用を中止する
電気コードへの対策方法
電源コードやコンセントなどの配線機器は、建物・住宅火災の出火原因第5位となっています。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)では、電気ストーブの電源プラグ側のコードプロテクター部に引っ張りや屈曲などのストレスが加わり、芯線が断線して、短絡・スパークして発火した事故の事例を公表しています。
コードそのものが劣化すると静電気やスパークが発生し、蓄積したほこりなどに引火して火災の原因となります。以下の対策を行い、火災を防ぎましょう。
- コード周りを定期的に点検・清掃する
- 束ねて使用しない
- 家具の下敷きや折れ曲がりに注意する
- 電源タップは決められた容量内で使用する
まとめ
冬場に火災が発生しやすくなるおもな原因と、石油・電気ストーブをはじめとした暖房器具や電気コードへの対策方法を解説しました。冬場は暖房器具による火災が発生しやすくなります。日頃から適切な取り扱いをし火災発生を防ぎましょう。
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