前回はハザードマップの入手方法をご紹介しましたが、今回はハザードマップ活用の際の注意点を3つのポイントでご紹介します。
まず基本として、災害が起きてから「どこに避難しよう」では遅いとお考えください。避難する場合は、いつ避難するか?避難場所へのルートはどうするか?(ルートは安全なのか?)というだけでなく、どこに避難するか?という点も事前に確認する必要があります。
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ポイント1『避難する場所は正しいか?』
ハザードマップ(防災マップ、避難マップ)で近隣の避難場所を確認するだけでは不十分です。自治体ごとにルールが異なるため、避難場所の呼び方や開設基準がバラバラという事を認識する必要があります。(なお今回は一般人が避難可能な場所を「避難場所」と総称しています)
避難場所の名称は、避難所、一次避難所、二次避難所、指定避難所、一時避難場所、福祉避難所、広域避難場所といった様々な呼び方があります。それぞれの意味や開設条件(24時間避難可能、開設時のみ避難可能、特定の避難場所が定員を超えた場合に開設する等)も自治体独自のルールで指定、運用されているため、読み手側(避難側)がきちんと理解する必要があります。きちんと理解せずに避難した場合、次のようなケースが想定されます。(あくまで一例です)
- 避難場所に行ったら、閉まっていた(開設基準に満たないため開設されていない)
- 津波警報が発令されたため、浸水想定エリア内の避難場所は避難禁止となっていた。(開設されない)
- 隣接する小学校と中学校の両方が避難場所として指定されているが、片方が優先開設されるルールになっていた。(もう片方は定員を超えた場合のみに開設されるルールのためすぐに開設されない)
また、避難場所だと思われがちな場所(公園や市民向けの施設、防災関係の施設等)でも、避難してはいけない場合があります。(ハザードマップにも名称が記載されていますが、避難場所となっていません)
一例として
公的な活動用地として指定されている場合
消防や警察等の活動用地に指定されている、物資の集積場所に指定されている等の理由から、一般人は災害時に立入禁止となります。
災害によっては危険な場所となる場合
大雨、洪水時は遊水地として水没する、海に近いため津波発生時は別の施設に避難する必要がある等の理由から条件付きの避難場所となっています。
ハザードマップをチェックする際は、避難場所の機能と対応する災害(地震・洪水・火災など)、開設条件を必ず確認したうえで、どこに避難するかを事前にご検討ください。(地域によっては災害ごとに避難場所が異なるケースもあります)
ポイント2『避難先で必要な物はないか?』
基本的な考え方として「手ぶら避難」はリスクが高いとお考えください。
避難場所の備蓄食料が足りない、そもそも備蓄されていないといった状況もあり、自治体によっては「避難の際は食料や生活用品を持参してください」と呼びかけるケースもあるそうです。また、普段から服用している薬、食品のアレルギーなど個人での備えが求められることもあり、生活用品は最低でも1日分以上。可能であれば数日分を用意することをお勧めします。(避難生活が長期化する場合は自宅の備蓄品が頼りになります)
もちろんですが、急を要する場合等は着の身着のままでの避難となることもあります。プラスアルファの情報として、外出で災害が起きた場合は持ち歩いているモノだけが頼りになります。普段の持ち歩き品にも防災用品や防災を意識したグッズをプラスしてみてはいかがでしょうか。
ポイント3『そもそも避難は必要なのか?』
「災害が起きたらとりあえず避難する」と思われがちですが、「とりあえず避難」という選択は現実的ではありません。自治体が定める地域防災計画や各種条例等によりますと、災害発生時に自宅や職場の建物が安全であればそこに留まるのが基本というケースが増えています。(自宅に留まる場合は「在宅避難」と呼ばれています)すでに一部の自治体では「避難できる施設には住民の○○に1人しか収容できません」「食料の備蓄は住民の○○人に1人分しかありません」という情報を発信しています。
建物がダメージを受けている、津波が迫っている、建物の立地や周辺に危険が及んでいる(洪水や土砂崩れ、火山噴火等)、避難の呼びかけがあった場合等は迷わずに避難行動をとってください。
家庭や職場の棚に置きっぱなしになっている事の多いハザードマップや防災マップ。速やかな避難行動をとる・とらないに関わらずハザードマップを使った事前検討、防災用品の準備がとても有効です。
今回ご紹介した視点で再確認してみてはいかがでしょうか。