津波による被害について知ろう!ケース毎に学ぶ防災

前回は「津波からの避難」についてご紹介しましたが、今回は津波によって想定される被害についてご紹介したいと思います。

津波の被害とは

何らかの原因で津波(押し波と引き波)が発生した場合に想定される被害は「津波そのものによる被害」と「津波によって間接的に発生する被害」があり、知らずにいると避難中や避難先で危険が生じる事もあります。
津波そのものによる被害では、津波に足を取られたり流される事による負傷や死亡があります。東日本大震災での死因の92.4%は溺死という統計が発表されており、逃げ遅れや避難途中で人命が奪われているケースが多いと思われます。

http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h23/bousai2011/html/zu/zu004.htm
(内閣府:平成23年版 防災白書より東日本大震災における死因)

深さ数十センチの津波でも、足を取られて転倒し流される、漂流物により負傷するといった危険性があるため、避難の際は注意が必要です。さらに津波は複数回襲来する事があるため、津波がおさまったと思って浸水した地区に立ち入ったために次の津波にさらわれるというケースも想定されます。

津波によって浸水するだけでも大きな被害と言えますが、津波は通常の波よりも力が強いとされ、沿岸部の建物や構造物を破壊する事があります。過去にも建物や構造物を破壊する、浮力によって浮き上がらせ押し流してしまうといった被害が多数発生しており、東日本大震災では津波によって建物の上に大きな船や車両が乗り上げた様子をニュースや新聞で見られた方も多いかと思います。

津波の想定外の被害について

津波によって間接的に発生する被害は直接的なものと線引きが難しいものもありますが、一般的に「想定外だった」と言われている被害をご紹介します。

津波が川を遡上するケース

「津波は海から来るものだから、海沿いが危ない」という認識もありますが、津波が川を遡上するケースがあり、東日本大震災では北上川の河口から49キロ上流まで津波の遡上があったとの記録があります。また過去の南海トラフの巨大地震では当時の大阪で河口から数キロ遡上したとされる記録が残されています。

津波が来て逃げ道をふさがれたというケース

津波が川を遡上する事で浸水範囲が広がるだけでなく、避難の際に海とは違う方角(主に川の方角)から津波が来て逃げ道をふさがれたというケースが東日本大震災では発生しています。避難の際は海から離れるだけでなく、川や用水路からも離れる、という認識が必要です。また海から離れた地域でも津波の遡上により被害が発生するという想定が必要です。

火災が発生するケース

津波による破壊や流出により火災が発生するケースも東日本大震災では問題となりました。津波によって流された可燃物(燃料タンクやその流出物等)や漂流物(車や船舶等)が燃える事で火災が発生し、まわりの漂流物に延焼しました。さらに津波に耐えた建物に漂着し延焼したため、建物にいた避難者がさらに避難を強いられるという事態も発生しました。

インフラにダメージを受けたというケース

間接的という視点では、橋やトンネルが津波に飲みこまれたことにより、送水管や送電線、通信線がダメージを受け、地区単位でインフラにダメージを受けたというケースも報告されています。これらの復旧には時間を要するため、直接津波が襲来しなかった地区にも大きな影響を出してしまいます。

津波による長期的な被害になりますが、浸水した場合は衛生面の問題の他、海水に含まれる塩分で農地に塩害が発生する事も無視する事は出来ません。

津波が襲来した後について

津波が襲来した後にも目を向けなければなりません。

高台、屋上、避難タワー等に避難した場合、津波の警報が解除されるまでの数時間、場合によっては水が引くまで数日間を過ごす必要があります。その際に体調を崩す、命の危険にさらされることも実際に発生しており、前出のインフラ被害(電気、水道、ガス、通信等)の状況下で「生き延びる」ための備えが必要となります。避難生活に必要な物品(水・食料・トイレ・医薬品・防寒具・情報機器等々)を「避難先に備蓄する」「避難者が持参する」といった事前の検討&備えが命を守るために効果を発揮します。

今回は津波による様々な被害をご紹介しましたが、津波から助かるための基本は「素早い避難」と「避難や待機のための備え」です。さらに助かる可能性を高めるためには「津波は水の災害なのに、火災対策が必要だなんて」といった貴重な体験から学ぶ事が有効だと、資料を読み返しながらあらためて感じました。皆さんも被災する前に情報を集め、備えを充実させる事をお勧めします。

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