雨の多いこの季節。大雨洪水警報が発令され、土砂崩れや浸水で出勤できなくなることもありますよね。
地震などの災害に備えているから大丈夫!と思われている方も多くいらっしゃいますが、実は地震と大雨洪水では対処法が異なることはご存知ですか?今回は雨が降り出し水害が起こりそう、あるいは起こってしまった時点からの対応について解説していきます。
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水害が発生した時には
地震と異なるポイントは、「地震は単発だが、雨は長時間続くこと」です。地震は1分ほどだとしても、雨は24時間、ときには7日間降り続いたりします。だからこそ、地震とは異なる対応が求められるのです。
基本は移動しない
水害が起こる場面を想定しますと、強い雨が降っている、あるいは雨が長時間続いているといった状況が大半と思われます。避難所への避難を考えたいところですが、水害の際は単純ではありません。豪雨の中の避難や冠水した道路を使った避難、暗くなってからの避難等は体力に自信のある方にとっても危険なため、オススメできません。
2009年8月の佐用町では、強い雨と夜の暗さという悪条件が重なり、避難途中に水路に流されるという人的被害が発生しています。避難ルートが危険と思われる場合は無理に移動せず、建物の上層階に避難する「垂直避難」を行ってください。
避難所へ移動すべき場合もある
避難所に向かうべきか、垂直避難するべきかについては、場所や状況によって判断する必要があるため、気象庁では次のように解説しています。専門的な内容を含みますが、過去に洪水被害のあった地域や周辺に河川のある地域の方はぜひ参考にしてください。
洪水に関する防災気象情報の活用(気象庁)
(今回は土砂災害については触れていませんが、土砂災害の危険性について自治体等から避難について連絡や呼びかけがあった場合は素早く避難してください。)
垂直避難の際のポイントは2点。
基本的には洪水の可能性がありますので、建物の外には移動しないことになります。しかし、浸水の可能性がありますので、「垂直避難」として建物の上の方に移動すると良いでしょう。
避難する際は防災用品や生活用品を持って行く。
水、食料以外にインフラに関する物をお忘れなく。(簡易トイレ、外部バッテリー、予備電池等)
※建物の2階にトイレが無い場合が多い、1階にブレーカーや受電設備が設置されている事が多い事を想定。
浸水したとき、特に水に弱いと言われる簡易トイレは、箱が潰れたり、中身の凝固剤が水分で使えなくなるリスクがあります。マイレットWR-100は内容物がすべてアルミフィルムで真空パックで保護されています。さらに外箱も耐水仕様で重さにも強く、長期保存に向いています。
水に浸かると困る物を退避
生命の危機、というほどでもなく、また時間がある場合は、パソコンなどの機械類や、高価なものを上層階へ持ち運びましょう。
企業の場合は週末が休業という事もあるので、休業日の前に退避が必要です。
冠水した道を避難する
ときにはやむを得ず雨の中の避難する必要もあります。土砂崩れの下敷きになってしまう場合や、大規模な水害で水位の低い建物に避難してしまった場合です。最低限のことですが、下記の3点は覚えておきましょう。
長靴はNG
意外かもしれませんが、雨だからと言って、長靴を履くのはやめましょう。長靴は非常に歩きにくいため、履きなれた靴でなおかつ脱げにくい物を選びましょう。長靴は一度水が入ってしまうと危険です。
また、避難所に入り濡れた靴下も脱ぐ事を想定し、予備の靴下やタオルを用意しましょう。カバンの中で濡れてしまわないように、チャック付の袋に入れましょう。
釣りやアウトドアで使用する防水靴下があれば、普通の靴下→防水靴下→靴の順に履きましょう。
足元を確認しながら進む。
洪水のときは水位が上がり、足元がよく確認できません。そして水圧でマンホールや側溝の蓋が外れていたり、色々なものが流され道に転がっている可能性があります。長い棒や杖などで足元を確認しながら進みましょう
夜の場合、灯りは各自で身に着ける。
手に持つ懐中電灯ではなく、頭に着けるヘッドランプや首や肩からひもでぶら下げるタイプのライトを使いましょう。足元を照らすことが第一の目的ですが、足を取られて転んでしまった場合なども、灯りが目印となり救助される可能性が高まります。
外出中の注意点として「水は低い場所に向かって流れる=低い場所に向かわない事」が重要です。
- 車で移動中は低い場所(アンダーパス、地下駐車場等)に向かわない。
- 地下街や地下鉄等の地下施設には向かわない、地下にいた場合は早めに上に向かう。
水害の後には
水害が起きてしまい、雨がやむ・水が引くといった事態の鎮静化が見られた場合には、落ち着いて次のような行動をとってください。
- 家族や知人の安否確認
- 自宅や周辺の被害確認
- 被害があった場合は自治体等への被害の報告。
被害確認の際のポイントは、写真やメモにより記録を取る事です。つい片付けで頭が一杯になってしまい、罹災証明の手続きの段階になって困るといったケースも見受けられます。
治水技術の進歩により水害は身近な物ではなくなっているかもしれませんが、2015年9月の「関東・東北豪雨」での鬼怒川決壊のように大規模な被害は近年でも発生しています。被害を減らすためには普段からの備えや避難についての情報・知識が重要です。