災害が発生するたびに避難所についてのニュースを見る機会がありますが、近年よく話題にあがるのが「避難の時にペットをどうする?」といった問題です。私が担当した防災訓練や避難所訓練、講習会等でも話題に上がるケースが増えております。今回はペットとの避難について入門的な内容から取り上げたいと思います。
今回対象とするペットは「人間と避難(移動)ができる動物」で「飼育に許可や届出が不要なペット」といった範囲でお話を進めさせて頂きます。(一般的に家庭で飼育される犬や猫、鳥や小動物を想定しています)また、商業的に飼育や繁殖されている家畜、業者が管理するペットも対象外とご理解ください。
環境省等のガイドラインによりますと、ペットと飼い主は同行避難することを基本としています。避難が必要となる地震や水害が発生した後で慌てて避難を検討しても手遅れです。やはり事前の備えが重要です。
飼い主側の備え
- ペットフード、水、薬、トイレグッズなど生活用品
支援物資でペット用品はあまり期待できません。 - ペットが逃げ出さないような用品
首輪、ハーネス、リードなど。 - 逃げた際の識別の準備
マイクロチップや鑑札を装着しておく。 - 衛生、健康の管理
予防接種や寄生虫・ノミ等の対策薬投与などを行っておく。 - 普段からのしつけ
ペット用キャリーバッグやケージに慣れさせる、知らない人や他のペットとの接し方に慣れさせるなど。 - 避難所までの移動の準備
人間が持ち運べるサイズ、重さのペットはペット用キャリーバッグ等を準備しておく。(避難所でも役立ちます) - 夜の避難に備えて、ペット用の反射材やマーカーライトを用意する。
※可能であれば、避難ルートの移動を訓練しておくとベスト。 - 安全のための用品の準備
大型犬であれば安全のためにマズルガード(口を覆う器具)やブーツ(足を保護する)を用意する。
避難所側の対応
「ペットは家族の一員」という考えから、可能な限り避難所でも一緒にいられるように配慮する必要があります。ただし、アレルギー等の問題があるため、他の避難者の生命や健康に悪い影響を与えない範囲での受入れとなります。
ペットを受け入れる避難所側のポイントとしては、あくまで理想ですが
- 他の避難者とは別室で「ペット同行の部屋」を設ける(室内飼育のペット)
- 建物の軒下など屋根のある場所にペットを繋ぎとめるスペースを設ける(屋外飼育のペット)
※過去の講習会等では、学校であれば自転車置き場、体育館裏などの屋根のある屋外スペースが候補として上がりました。 - 排泄物等の廃棄場所を設ける
- ペットのストレスを解消するスペース(散歩エリア等)を設ける
といった点への配慮を盛り込むことをお勧めします。
基礎的な内容をまとめてみましたが、現時点ではペットについての防災は飼い主側に偏りがあるように思います。受け入れる側の避難所や自治体側も、避難所の運営手順等に「ペットの受入れ」を取り入れる必要があるのではと感じました。
防災について考える時に「明日は我が身ですよ」とお伝えする事がありますが、「明日は我がペットも」という視点もぜひ持って頂きたいと思います。