地震や台風などの災害はいつ起きるか分かりません。防災用品を備えたくても「何をどのくらい用意していいか分からない」「防災グッズはスペースを取るのでなかなか備蓄ができない」といった人も多いのではないでしょうか。防災備蓄へのハードルを下げられる、新しい考え方が「フェーズフリー」です。
今回の記事では、フェーズフリーの概要や活用するメリットを解説します。フェーズフリーが実現できるおすすめ商品も紹介していますので、家庭での防災の備えにぜひ役立ててください。
Contents
フェーズフリーとは
フェーズフリー(Phase Free)とは、一般社団法人フェーズフリー協会によると「身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立つようにデザインしようという考え方」と定義されています。日常時(平常時)と 非常時・災害時のフェーズ(社会の状態)をフリーにすることで、もしものときに備えられ、生活の質を上げることが可能です。具体的には、日常的にも、災害時や非常時にも役立つデザインを持つ製品・商品・サービス・アイディアが、フェーズフリー品と呼ばれています。
フェーズフリーを活用するメリット
フェーズフリーを取り入れることで得られる、さまざまなメリットを解説します。
災害時の負担やストレス軽減
フェーズフリーを取り入れることで、災害時や非常時に感じる負担やストレスを軽減できます。
災害発生時や非常時は、恐怖や不安といった感情を持ちつつ、電気や水道、ガスなどのライフラインが使えない、物流が止まっているため物資が手に入らないなど、大きなストレスがかかります。フェーズフリー品を取り入れておくことで、以下のように日常時と同じような生活が送れ、負担やストレスの軽減につながります。
- 普段食べ慣れている食事や嗜好品を、日常時と同じように食べられる
- 太陽光発電システムや蓄電池、発電機により電気を確保できる
- アウトドア用品を活用し、寝る場所や防寒に役立つ
災害時・非常時の備蓄を別途用意する必要がない
フェーズフリーは、普段の生活で使用しているものを災害時や非常時に使用する考え方です。そのため、災害時や非常時のための備蓄を別途用意する必要がありません。
日常生活で活用できるフェーズフリー品を選べば、備蓄品のための保存スペースの確保や、購入のための費用も不要です。保管や費用面で防災の備えへのハードルを下げてくれるのも、フェーズフリーのメリットといえるでしょう。
日常生活で災害への意識を高められる
フェーズフリー品を日常生活に取り入れることで、日頃から災害への意識を高められるのもメリットです。災害発生時は災害の意識が高くなるものの、時間の経過によって実際に被害を受けた人の災害への意識は低くなってしまうことも多いでしょう。フェーズフリー品を日常的に使用することで「いざというときには災害に役立てる」という、災害を意識しながらの生活が送れるようになります。
日頃から災害への意識を高めておけば、災害発生時の対応力も高くなります。
備蓄・用意すべきフェーズフリー品の選定ポイント
災害や非常時の備えとしてフェーズフリー品を用意する場合は、以下のポイントを重視して選定しましょう。
- 自分・家族のライフスタイルに合っているもの
- 家族の人数分をカバーできるもの
- 自分だけに必要なもの(メガネ、コンタクト、杖、常備薬など)
- すでに持っているものでフェーズフリー品として活用できるもの
- 避難所生活で必要なもの
防災用品として使えるフェーズフリー品を選ぶポイントとしてもっとも重要なのが、日常生活で活用できることです。購入しても、通常時使用する機会がなければ意味がありません。
また避難所で用意されている設備や備蓄は、自治体や施設によっても異なります。災害時や非常時に避難予定の避難所の設備や備蓄品をあらかじめ確認しておき、必要なものをフェーズフリー品として準備することがおすすめです。
フェーズフリーで利用しやすいおすすめ製品・商品の事例
身近にあるアイテムや生活用品のなかで、フェーズフリーとして取り入れやすいものは多数あります。具体的なフェーズフリー品として導入しやすい製品や商品を順に紹介します。
常温保存ができる・賞味期限の長い食品
常温保存ができる、または賞味期限の長い以下のような食品は、フェーズフリー品として取り入れやすいです。
- 缶詰
- 乾麺(パスタ、うどん、そばなど)
- レトルト品
- フリーズドライ
- インスタント品
- ロングライフ食品 など
合わせて日常生活でも使いやすい、カセットコンロやガスコンロも準備しておきましょう。
食品は、ローリングストックを取り入れることで効率よくフェーズフリー品として取り扱いができます。ローリングストックとは、日頃から少し多めに食品を備蓄し、消費した分新しく購入する、を繰り返しながら備蓄する方法です。
ローリングストックについては、以下の記事でくわしく解説しています。
ローリングストックとは?日常備蓄での方法やメリット、上手な備蓄のポイントを解説
アウトドア用品
キャンプや登山といったアウトドアを趣味で行っている人は、アウトドア用品をフェーズフリーに活用できます。たとえば以下のようなアウトドア用品は、フェーズフリーに向いています。
- ランタン
- 寝袋
- テント
- 携帯用ナイフ
- 救急セット
- ガスバーナー
- 発電機 など
たとえば避難所に寝袋を持ち込む、停電時ランタンを灯りとして使う、といったことが可能です。
電気自動車
すでに電気自動車に乗ってる、または電気自動車を購入予定の場合、電気自動車をフェーズフリーに活用できます。電気自動車の中には、蓄電池で充電できるタイプのものがあります。電気自動車の蓄電池にためておいた電気を、自宅につなぐシステムを導入すれば、停電時に電気自動車から電気の供給が可能です。
ハウスメーカーの中には、電気自動車の充電設備とともい、自宅とつなぐことで蓄電池としての役割を担える設備をすでに搭載している商品を提供している企業もあります。
アート
ふだんは一般家庭のリビングやトイレなどに飾るアートとして使え、災害時はさまざまな防災アイテムとして使える、フェーズフリー品が販売されています。たとえばまいにち株式会社が販売している「アートトワレ」は、見た目はアート、中身はトイレ処理セットのフェーズフリー品です。
災害時上下水施設や排水管へのダメージにより、断水が起きることも多いです。飲料水は備蓄しているものの、非常用トイレは備蓄していない、という人も多いのではないでしょうか。アートトワレには、水のいらないトイレ処理セット「マイレット」が搭載されています。凝固剤によってスピーディに抗菌、消臭ができるため災害時のトイレ問題の解決にぴったりの商品です。
アートやフォトのデザインも豊富、空間の雰囲気に合うものを選んで購入できます。非常用トイレへの備蓄のハードルを下げられる、アートトワレをぜひフェーズフリーに取り入れてみてください。
まとめ
フェーズフリーの概要やメリット、具体的な商材やおすすめ商品を解説しました。フェーズフリーを活用することで、日常生活の中で上手に災害への備えができます。ライフスタイルや家族の人数などに合わせて、適切なフェーズフリー品を導入してみましょう。