2019年の防災。避難所問題とハザードマップ想定外

2019年もあと少しとなり「今年は○○の年」や「令和元年を振り返る」といった番組や特集記事を見かける時期となりました。

防災の分野でも大規模災害を中心に1年を振り返る企画は数多いのですが、今回はあえて別のパターンとしてみました。当ブログでは「対策に○○をお勧めします」や「○○にお気を付け下さい」といった対策の提案や注意喚起を行ってまいりましたが、今回は対策や答えのない(正確には制度やルールが追いついていない)内容となっています。

2019年を振り返り2020年へ引き継ぐべき課題を2つまとめてみました。

課題①『避難所が足りない』

具体的には「避難所の収容人数が不足している+避難所の備蓄品も不足している」といった厳しい現実があります。個人的な感覚ですが2011年の東日本大震災以降、自治体は避難所等の収容人数や備蓄品の数量を防災計画等で公表するようになり、ある程度は現実的な対策に向かっておりますが、正直なところ全住民+就業者や就学者(非居住者)を収容できる規模の施設はほとんどの自治体に備えられていないと思います。

大阪市の一部の区のように「避難所に入ることができるのは住民の○○人に1人、備蓄食料は○○人に1人」といった現実的な数字を発表している自治体もあるくらいで、日本では広さ(収容人数、備蓄スペース)がそもそも足りません。土地の広さなどの根本的な限界があるのではと私は解釈しています。

6月下旬から7月にかけて九州を中心とした大雨では「警戒レベル4 全員避難」が出ましたが、避難所が満員で入れず引き返した、というケースも見受けられました。これは今年6月から運用を開始した5段階の「警戒レベル」から発信される情報(文言)と具体的な住民の避難行動がうまく噛み合っていないためと思われます。

課題②『ハザードマップにも想定外がある』

10月に上陸しました台風19号による被害は甚大で、各地での浸水、河川氾濫、土砂崩れなどが多発しました。この中で私が注目したいのは宮城県の丸森町等で発生した「土砂災害警戒区域以外の場所での土砂崩れ」です。

すでにニュース番組等で、警戒区域を検討する地図の精度や地盤(地質)の特殊性が原因では?との見解が示されていますが、居住地の安全判断や避難の判断が難しい事をあらためて痛感しました。

参考(国土交通省:令和元年台風第19号に伴う土砂災害の概要)

※昨年の西日本豪雨ではハザードマップで浸水エリアを事前に周知できていたケースがあっただけに、防災士としても複雑な心境です。

今回は普段と違うアプローチでブログを書いてみました。2020年に持ち越しとなる課題について、新しい情報や対策が見付かりましたら、当ブログでもご紹介したいと思います。また、これらの災害や課題について皆さんも折を見て考えて頂けましたら幸いです。

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