「在宅避難」とは、避難所には行かずに、自宅で避難生活を送ることを言います。
避難所は本来、家が倒壊するなどして住居を失った人のために提供される場所です。収容できる人数には限りがあり、すべての住民を受け入れるには数が足りません。
頑丈で耐震性の高いコンクリートマンションに住む人は、居住場所に危険性がない限り、電気・ガス・水道といったライフラインが途絶えても、そのまま自宅で避難生活を送ることになる可能性が高いでしょう。
避難所に行かなくても済むよう、しっかり準備しておくことが大切です。
在宅避難をするために必要な対策と備蓄について説明していきます。
Contents
まずは、自宅マンションが安全であることが大前提
在宅避難をするためには、自宅が安全な場所でなければなりません。
余震で倒壊する恐れがあったり、土砂崩れや浸水被害を受ける可能性がある場合、自宅にとどまっていては危険です。
まずは、自宅マンションがどの程度の耐震性を持っているのか把握しておきましょう。ハザードマップなどで、災害時の被害想定をあらかじめ確認しておくことも必要です。
耐震対策:家具類の転倒・落下・移動の防止
冷蔵庫やタンスなどの大きな家具は、ドアや窓の近くには置かないようにします。たとえ地震の揺れで倒れても、避難を妨げたりケガの原因になったりしないような配置を心がけてください。
参考サイト: GetNavi web
在宅避難におけるトイレの重要性
災害時の避難生活において、最も重要になるのがトイレの確保です。
水を使わずに処理することのできる災害用トイレを必ず備蓄しておきましょう。
特に、マンションは停電した場合、給水ポンプを作動させることができなくなり、断水となります。マンションの水道システムにもよりますが、電気が止まれば水も止まると考えたほうがよいです。
たとえ水を流すことができたとしても、震度5強以上の大きな地震が起きた場合は、排水管や下水処理場などの無事が確認できるまで、トイレの水や生活用水を流してはいけません。
排水管が破損しているにも関わらずトイレを流せば、階下に水漏れしてしまいます。下水を詰まらせてしまった場合には、汚水が建物内に逆流する恐れがあります。
また、大災害時には道路の復旧に時間がかかるため、当分の間ゴミ収集車にきてもらうことはできません。たまった汚物は自分で保管しておく必要がありますから、そういった点を踏まえて、汚物入れや凝固剤のついた災害用のトイレを選ぶとよいでしょう。
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参考サイト:イッツコム
在宅避難に必要な備蓄
在宅避難をするための備蓄は、できれば1週間分くらいは用意しておきたいところです。電気・ガス・水道が一切使えなくなることを想定して準備します。
備蓄品リストを作り、可視化して管理するとよいでしょう。
照明・電気関係
- 電池、懐中電灯(ヘッドランプ)、スマホの充電器、ラジオ
ガスの代替品
- カセットコンロ、ガスボンベ
衛生用品・医薬品
- トイレ用品(災害用トイレ、簡易トイレ、トイレットペーパー、トイレシート)
- 消毒用品(ウェットティッシュ、消毒用アルコール、口内洗浄液)
- 生理用品、おむつ、マスク、ビニール手袋、キッチンペーパー、ティッシュなど
- 常備薬、サプリ、ビタミン剤など
備品
- ビニール袋(汚物入れ用、食品の保存用など、用途別に厚さや大きさを変えて備蓄)
- ラップ(お皿にひいて、洗い物を少なくするため)
- スリッパ、軍手(ガラスの破片などでケガをしないようにするため)
水関係
- 給水用のポリタンク、給水袋、生活用水を入れるための大きなバケツなど
- ミネラルウォーター
食料品
- 普段食べている日常的な食品を多めに買っておき、食べたら食べた分だけ買い足しておく(ローリングストック法。賞味期限の長いもので行うとよいでしょう)
- 無洗米
- 入手困難になることが予想されるもの(アレルギー対応食、介護食、離乳食、ペットフードなど)
- 非常食(缶詰、レトルト製品など)
参考サイト: マンション・ラボ「震度5強以上の地震が起こったら、マンションのトイレが危ない?」
参考サイト: マンション・ラボ「自主防災訓練をやってみてわかった!被災後1週間、マンションで在宅避難するために本当に必要な備えとは?」
まとめ
在宅避難はしっかり準備さえしていれば、避難所よりも、はるかに良い環境で生活することが可能になります。
ただし、行政による支援は在宅避難者には届きにくいということを心しておきましょう。
普段から家族やマンションの住民同士で話し合い「自助」「共助」の意識を持っておくことが大切です。