【企業向け】南海トラフ地震の震源地や発生時期は?企業でやるべきBCPについて解説

近年発生が予測されている大震災のひとつに、「南海トラフ巨大地震」があります。南海トラフ巨大地震の規模は甚大であることが予想され、一般家庭はもちろん企業法人への防災対策も求められています。「南海トラフ地震が自社に影響があるか知りたい」「南海トラフ地震のために企業でやっておくべき対策や備えが知りたい」という方のために、南海トラフ地震の震源地や発生時期、さらに企業でやるべきBCPについて解説します。

南海トラフ地震に関する基本情報

南海トラフ地震についての基本情報をまとめました。

南海トラフ地震とは

南海トラフ地震とは、気象庁によると「駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域とした、おおむね100~150年間隔で繰り返し発生してきた大規模地震」を指します。つまり、今後の発生が予測されている大震災を含め、南海トラフ地震は日本の歴史の中ですでに何度も発生していることになります。

南海トラフ地震の震源地

南海トラフの地震の震源地となる「南海トラフ」とは、静岡県の駿河湾から九州の日向灘にかけて、海洋プレートが大陸プレートに沈んでいる海底の場所を指します。そのため被害の想定される範囲は東海・近畿・四国・九州地方と広範囲にわたります。

南海トラフ地震の発生時期

2024年5月現在で、もっとも新しく発生した南海トラフ地震は1946年に起きたマグニチュード8.0の「昭和南海地震」です。1946年から逆算すると2024年時点で78年が経過していることになります。南海トラフ地震は100~150年周期で発生すると言われているため、発生時期として予測されるのは2046~2096年です。とはいえ、地震は自然現象のためいつ起きるか分かりません。政府の地震調査委員会では、マグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に70%から80%の確率で発生する可能性がある、としています。

明日にでも南海トラフ地震が発生するかもしれない、という危機感を持ちながら対策を行っておく必要があります。

南海トラフ地震で想定される被害

南海トラフ地震で想定される被害を以下にまとめました。
・関東~九州にかけての死亡者の推計値:約32万3,000人(30の都府県の合計)
・地震発生から1週間後の避難者の数:最大で950万人
・地震発生から1週間後不足する食料:約9,600万食
・全壊または焼失する建物:約238万棟
・経済被害:総額220兆3,000億円

南海トラフ地震に対して企業が行うBCPとは

特に南海トラフ地震によって甚大な被害が想定される地域にある企業には、防災対策だけでなくBCP策定も求められています。BCPとは災害をはじめとした非常事態が発生した場合でも、企業の事業を継続またはすみやかに復旧させるための取り組みのことです。BCPを策定しておくことで南海トラフ地震発生後も事業の復旧や継続が可能となり、企業としての能力はもちろん、従業員や関係者の生活を守ることにもつながります。

南海トラフ地震への対応として、企業が行うべきBCPを順に解説します。

サプライチェーン対策

製造業、小売業、卸売業といったサプライチェーンは、ひとつの企業の事業が停止するとサプライチェーン全体が停止してしまい、すべての企業の事業が滞ってしまうリスクがあります。サプライチェーンを守るためには、垂直的な対策と水平的な対策の両面からのアプローチが必要です。

対策方法

対策内容

具体的な対策

垂直的な対策

仕入れ先への確認

災害による影響や事業継続対策を1次仕入先やその先まで拡大して確認をする

仕入れ先での代替

仕入れ先別工場で代替生産を行う

仕入れ先の複数化

仕入れ先をあらかじめ複数確保しておく

水平的な対策

企業内の代替

別工場や別支店など、企業内での代替業務を行う体制を整えておく

企業間の連携や相互支援協定

代替生産、人員、設備の貸借や部品確保などの仕組みを構築しておく

ヒト・モノを守る防災対策

BCPでは、企業の財産である生命の安全確保(ヒト) と物的被害(モノ)の軽減を目的
とした防災対策も含まれています。日頃から以下のようなヒトやモノを守るための備えや対策を行っておきましょう。

・事業所の耐震化
・人命の安全確保(避難経路や救命救助の確認)
・安否確認体制の確立
・役割・体制(指揮命令、被害確認)の確立
・教育・訓練の実施
・食料・医薬品、非常用トイレ等の備蓄

・二次災害防止(出火/落下/飛散/浸水など)
・オフィス家具・機器の転倒防止 など

従業員と事業所の完全確保を第一とした防災対策を行っておきましょう。

企業・法人向け防災用品・防災グッズについては以下の記事を参考ください。
企業・法人向け防災用品・防災グッズを災害別に防災士が解説します

BCPの策定

BCP策定で重要となるのは、企業の経営を守り事業を継続するための必要リソースを確保することです。そのため、重要業務に必要最低限のリソース(ヒト/モノ/カネ/情報)を把握しておくこと、必要最低限のリソースの確保方法(復旧か代替確保か)をBCPで策定しておくことが重要です。

以下の記事では企業・法人様向け防災セットの見直し時期について詳しく説明しております。
企業・法人様向け防災セットの見直し時期と入れ替えのコツ

企業のBCP策定支援ツールや制度


企業のBCP策定支援を目的とした制度やツールを紹介します。

内閣府:事業継続ガイドライン

内閣府防災が2005年8月より提供している事業継続のためのガイドラインです。東日本大震災前から企業の防災力向上を目的にBCPの重要性を認識し、普及促進のために作成されました。南海トラフ地震を含めた震災をはじめ、事業の中断をもたらす可能性がある、あらゆる発生事象について適用できます。国際的な規格等との整合もはかられています。
参考:内閣府_事業継続ガイドライン

中小企業庁:事業継続力強化計画(認定制度)

中小企業庁では、中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が「事業継続力強化計画」として認定する制度を2019年7月より運用しています。認定を受けた中小企業は、税制措置や金融支援、補助金の加点などの支援が受けられます。
参考:中小企業庁_事業継続力強化計画(認定制度)

中小企業庁:中小企業BCP策定運用指針

中小企業へのBCPの普及促進を目的にし中小企業庁が作成した運用した指針です。中小企業関係者や有識者の意見を参考に、中小企業の特性や実状に基づいたBCPの策定や継続的な運用の方法を、具体的にわかりやすく記載されています。
参考:中小企業庁_中小企業BCP策定運用指針

内閣官房:国土強靭化貢献団体認証「レジリエンス認証」

レジリエンス認証制度は、大企業、中小企業、各種団体における事業継続の積極的な取り組みの普及により、社会全体の強靭化を進めることを目的としています。国土強靭化貢献団体の認証に関するガイドライン」に基づいて運用されています。
参考:内閣官房_国土強靭化貢献団体認証「レジリエンス認証」

まとめ

南海トラフ地震の震源地や発生時期といった基本情報に加えて、企業でやるべきBCPについて解説しました。南海トラフ地震は将来的に発生すると言われています。震源地に近い場所に企業のオフィスや事業所がある場合を含め、BCP策定や防災対策を今からしっかり行っておきましょう。

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