災害発生時、多くの人を災害の危険から守るために国や自治体からの支援の「公助」だけでなく、地域や周辺組織との「共助」も必須です。共助の取り組みとして「地域防災協定」や「災害時応援協定」を結ぶ企業も増加しています。今回の記事では、地域防災協定・災害時応援協定とは何かに加えて、具体的な取り組み例、地域防災協定や災害時応援協定を結ぶメリットについて解説します。防災協定書についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
地域防災協定・災害時応援協定の概要
地域防災協定および災害時応援協定の概要や目的について解説します。
地域防災協定とは
地域防災協定とは、自治体同士または自治体と民間企業が締結する災害時の救援協定のことです。
災害対策基本法第7条第2項において「地方公共団体の住民は、自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、自発的な防災活動に参加する等防災に寄与するように努めなければならない」と定められています。地域防災協定は、企業が地域社会を形成する存在として、住民と同じ「災害に備えるための手段を講じる」「防災に寄与する」責務を果たすことを目的に締結されます。
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災害時応援協定とは
災害時応援協定とは、自治体同士または自治体と民間企業が災害時の人的・物的支援の協力を締結する協定のことです。災害時応援協定では、物資の支援、供給や緊急搬送、ライフラインの復旧などの分野における協力が締結されます。
防災協定書とは
地域防災協定では、自治体や企業が行う具体的な支援や取り組みの内容も定めます。支援や取り組みの内容をまとめたのが「防災協定書」です。防災や減災の取り組みおよび災害発生時は、防災協定書の内容をもとに活動が行われます。
地域防災協定・災害時応援協定のおもな取り組みや支援内容
地域防災協定や災害時応援協定で自治体や企業が行う支援や取り組みは、それぞれの組織・団体によって異なります。特に企業は事業内容や取り扱う製品、拠点など企業としての強みや特徴を活かした支援や取り組みを行っている場合も多いです。
地域防災協定および災害時応援協定における、おもな取り組みや支援内容の例を順に紹介します。
災害発生時の取り組みや支援内容の例
災害発生時、自治体や企業は以下のような取り組みや支援を行っています。
- 一時避難場所や救難活動拠点として使用できる施設、場所の開放
- トイレや水道等設備の開放
- 避難・支援活動のための通路の確保や救命支援、崩壊家屋の瓦礫撤去などに使用する重機等資機材の提供
- 食料・飲料水・衣類・燃料などの提供
- 避難所への必要物資の輸送
- 輸送用車両の手配
- バスやタクシー、船舶などによる移動手段の確保
自治体が運営する避難所に行くほどではない。
平素の取り組み・支援の例
平素では、以下のような防災・減災のための取り組みや支援が行われています。
- 防災訓練の協力や共同実施
- 防災備蓄倉庫の設置
- 防災対策マニュアルの作成と共有
企業が地域防災協定・災害時応援協定を締結するメリット
企業防災の一環として、地域防災協定や災害時応援協定を自治体と締結する企業も増加しています。企業が地域防災協定や災害時応援協定を締結するメリットを解説します。
災害からの復旧・復興が早まる
災害発生時に企業が共助のための支援や取り組みを提供することで、災害からの復旧や復興を早めるのに役立ちます。たとえば企業が高台にある敷地や頑丈な建物など安全な場所を避難場所として開放し、避難者を誘導することで人的被害を抑えることに寄与します。工場や物資倉庫を避難所として開放したり、防災備蓄品や食料、飲料水を配布・運搬したりすることで国からの支援(公助)が受けられる間の避難生活をサポートできます。敷地を提供することで物資支援や人的支援をスムーズに受け入れる仕組みを作ったり、負傷者の救護が速やかに行われる場所を確保したりといったことにつながります。
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企業が災害発生時に多くの支援や取り組みを行うことで、地域全体の災害からの早期復旧も実現できるでしょう。
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企業の地域での認知度が上がる
自治体と企業が災害時や平時に連携して活動を行うことで、地域住民と企業がつながるきっかけにもなります。地域住民への支援や防災・減災への取り組みを行った企業として地域住民に認知され、認知度や知名度、信頼性が高まることにもつながるでしょう。
災害時や平時の企業の活動や取り組みが地域住民から評価され、その企業の商品購入やサービス利用といった行動につながる可能性もあります。
自社の災害発生時の共助が受けられる
地域防災協定を結んだ企業と自治体は、災害発生時に共助を提供し合う関係となります。災害によって企業が被害を受けた場合には、自治体からの支援が受けられます。従業員の安全確保や事業継続におけるBCPの実行面でも、企業のみで行うよりもより確実性が高くなります。
防災投資が効率化する
企業は災害への備えとした防災用品の備蓄をはじめとした、防災投資を行います。防災投資は企業の規模や資金力によってはスペースやコスト面での負担が大きく、十分な投資ができないことがあるかもしれません。
地域防災協定や災害時応援協定によって自治体と企業が連携することで、防災備蓄をはじめとした防災投資面でも効率性が上がります。企業だけでは実現できない防災備蓄も実現可能です。
地域防災協定や災害時応援協定を締結するポイント
地域防災協定や災害時応援協定を締結することで、災害発生時の大きな共助が提供できるようになるだけでなく、企業としての知名度や信頼度の向上、災害時の安全性の確保や防災投資の効率化など、企業面としても大きなメリットがあります。けれども、企業の規模や資金面でどのような支援や取り組みを行うべきか分からない、といった企業もあるかもしれません。
地域防災協定や災害時応援協定を締結するポイントは、自社の規模や資金、事業内容を鑑みて無理のない範囲からはじめるのがおすすめです。たとえば自社で行っている防災備蓄の範囲を少し広げて、帰宅困難者に配布する分を確保したり、トイレや水道を開放したり、といった手段もあります。地域の防災訓練に参加したり、イベントで防災や減災に役立つ催しを企画したりといった方法もあります。
自社で何ができるかを考えて、地域の一員として防災や減災への取り組みにぜひ参加してみましょう。
まとめ
地域防災協定や災害時応援協定の概要や具体的な支援内容や取り組み、企業が地域防災協定や災害時応援協定を結ぶメリットを解説しました。企業が地域の一員として防災や減災への取り組みに参加したり、災害発生時に支援を提供したりすることで、早期復旧にもつながります。自社ができることを考え、地域の防災や減災への貢献をはじめましょう。