山火事の原因とは?森林火災との違いややっておくべき備えを解説

山火事の原因とやっておくべき備えを解説

近年、日本や海外で大規模な山火事が発生しています。避難が必要となる、危険な山火事も発生するようになりました。「山火事はどんな原因で発生する?」「山火事に対してどんな備えをしておけば良い?」という疑問を持つ方のために、今回の記事では山火事の原因や森林火災との違い、やっておくべき備えについて解説します。

山火事と森林火災の違い

山火事とは、名前の通り広範囲の山や森林で発生する火災のことです。消防法の分類では「林野火災」と呼ばれます。

山火事と森林火災の違いは明確な基準はなく、同義として扱われることもあります。山や森林で発生する火災の総称として山火事が使用されることが多く、森林火災は森林で発生する火災のみを指すこともあります。

山火事の発生件数や傾向

近年の山火事の発生件数や傾向について解説します。

山火事の発生件数

消防庁によると、日本では毎年1000件以上の山火事が発生しているとしています。参考までに、林野庁の発表した令和4年の山火事(林野火災)の出火件数は1,239件、焼損面積は605ha、損害額は 3 億4,468万円、同じく令和5年の山火事の出火件数は1,299件、焼損面積は844ha、死者数は13人、損害額は 1億2,500万円、でした。

山火事は短周期で増減を繰り返しながら長期的には減少傾向にあるものの、依然として毎年大規模な山火事は発生し続けています。
参考:日本防火・防災協会_林野火災における消火活動と消防庁の主な取組み

山火事の発生原因

山火事の発生原因として挙げられるのが、焚き火、火入れ、放火(放火疑いを含む)といった人為的な要因です。山火事が発生する時期として多いのが1月〜5月で、もっとも多いのが3月、次に4月、2月の順となっています。

春先に山火事が発生する原因として、以下の要素が考えられています。
・落ち葉が堆積している
・風が強い
・大気の乾燥している状態が続いている
・降水量が少ない
・春先の山登りや山菜採り、ハイキングなどの入山者が増加する
・畑などの野焼き・枯れ草焼きが行われる

特に近年ではアウトドアブームから焚き火やバーベキューの残り火が山林に燃え移り、山火事へ発展するケースも多くなっています。

山火事の原因は落雷などによる自然現象によって発生することもありますが、ほとんどが人為的な要因です。いずれも人間の危険かつ不注意な行為によって山火事へ発展する可能性もあるため、入山時の適切な火の取り扱いや始末、行動が求められていると言えるでしょう。

近年発生した山火事

2025年4月現在、以下のような山火事が発生しました。

発生日時 出火場所 被害状況 避難指示などの発令状況
2025年
1月18日
大蔵経寺山(山梨県笛吹市・甲府市)山頂付近 林野被害 約35ha なし
2025年
2月19日
岩手県大船渡市三陸町綾里字田浜下地内 林野 林野被害 約324ha の範囲内に焼損地点が点在 大船渡市:避難指示(田浜地域)→ 25日15:30解除
2025年
2月25日
岩手県陸前高田市小友町字柳沢地内 林野 林野被害 約8ha 大船渡市:避難指示(小田地域、梅神地域)→26 日 12:00 解除
陸前高田市:避難指示(財当地区、柳沢地区、上の坊地区)→26 日 12:00 解除
2025年
2月26日
岩手県大船渡市赤崎町合足地内 (1)林野被害
 約2900ha(調査中)
(2)人的被害
 死者1人(男性、90代)
(3)住家・非住家被害
 大船渡市発表 住家102棟(うち全壊76棟)、住家以外108棟(うち全壊95棟)
 (3月9日12時00分現在)
避難指示はすべて解除済み
2025年
2月26日
山梨県大月市猿橋町小沢付近 林野 (1)林野被害
約 150ha
(2)人的被害
なし
(3)建物被害
2棟(焼損程度調査中:空家1棟、物置1棟)
なし
2025年
2月28日
長野県上田市武石上本入 林道熊沢線付近 (1)林野被害
 約 100ha
(2)人的被害
 1名(負傷程度:中等症)
なし
2025年
3月23日
熊本県阿蘇郡南阿蘇村大字吉田 吉田牧野付近 (1)林野被害
 約 20.2ha
(2)人的被害
 1名(軽症)
なし
2025年
3月23日
愛媛県今治市長沢地内 林野 (1)林野被害
約442ha(3月31日8時00分時点)
(2)人的被害
3人(軽傷2人、程度確認中1人)
※ 程度確認中1人は軽傷(西条市からの情報)
(3)建物被害
【愛媛県】今治市21棟(住家5棟、非住家16棟)
西条市 1棟(非住家1棟)
避難指示はすべて解除済み
2025年
3月23日
岡山県岡山市南区飽浦 貝殻山 (1)林野被害
約565ha(27日12時時点)
(2)人的被害
なし
(3)建物被害
【岡山県】岡山市6棟(非住家6棟)
避難指示はすべて解除済み
2025年
3月25日
宮崎県宮崎市鏡洲 山林 (1)林野被害
約50haの範囲内に点在
(2)人的被害
なし
(3)建物被害
なし
宮崎市:避難指示(鏡洲地区(鏡洲上、赤木九平):70世帯)
→26日18時40分解除

山火事から身を守るための対策方法や備え

山火事から身を守るための対策方法や備え
山火事は減少傾向にあるものの、春先には日本の各所で発生する恐れのある災害です。山火事から身を守るために覚えておきたい対策方法や、日頃からやっておきたい備えを順に解説します。

山や森林での防火意識を高める

山火事は乾燥や風が強いといった条件下で、誤った火の取り扱いによる人為的な要因によって発生します。以下のように、山や森林での防災意識を高めた行動を心がけて山火事を防止しましょう。
・枯れ草があるなど火災が起こりやすい場所では、たき火をしない
・たき火などの火気の使用中はその場を離れない
・火の使用後は完全に消火する
・強風時及び乾燥時には、たき火、火入れをしない
・火入れ(生えている木や草などを広範囲で燃やす)を行う際は、許可を必ず受ける
・たばこは、指定された場所または携帯灰皿を使って喫煙する
・吸いがらは完全に消す
・吸いがらを投げ捨てない
・花火などの火遊びはしない

山火事に備えて事前の備蓄や準備をする

山間部に住んでいるなど、近隣で山火事が発生する可能性がある場合以下の備えをしておきましょう。
・非常用持ち出し袋を用意しておく
・複数の避難経路を確認しておく
・火災保険に加入しておく
・自宅を準耐火構造住宅へリフォームする

「水のいらない」災害用トイレ一覧はこちら

非常用持ち出し袋は、地震などの災害対策と同じもので大丈夫です。非常用持ち出し袋の中身については、以下の記事で詳しく解説しています。
防災グッズに絶対必要なものを自宅避難・持ち出し避難に分けて解説

まとめ

山火事と森林火災の違いとともに、山火事の発生件数や傾向、山火事への備えについて解説しました。山火事も地震や台風と同じくいつ起きるか分からない災害のひとつです。家庭用の非常用持ち出し袋の準備や避難経路の確認などの準備を行っておくことで、山火事を含め地震や台風などの多くの災害への備えを同時に行うことができます。

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