雪による災害である雪害は、雪国と呼ばれる豪雪地帯のみで起きるものと思っていませんか。普段雪の降らない地域が突然の大雪に見舞われると、備え不足から大怪我や命の危険につながることがあります。今回は、雪の降らない都市部での雪害への備えについて解説します。
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都市部で発生する雪害が実は怖い理由
四季のある日本では、地域により冬に雪が降ります。警報が出るほどの大雪は「豪雪」と呼ばれ、日本では国土の51%、北海道から本州の日本海側一帯および東北地方の太平洋側の一部地域が豪雪地帯および特別豪雪地帯に指定されています。豪雪地帯および特別豪雪地帯では、冬季に生活に支障が出るほどの雪害に見舞われることも珍しくありません。
実は雪害が発生して大きな被害が出る恐れがあるのは、豪雪地帯や特別豪雪地帯だけではありません。例年大きな雪害に見舞われる地域では、普段から雪に対する危険性や知識を持っているため、雪に対して適切な対策や対応、備えができる方が多めです。一方で雪に慣れていない地域では、少し雪が降っただけで日常生活や交通網などに混乱が生じてしまう可能性も高いと言えます。雪に慣れていない都市部だからこそ、雪に対する正しい対策や備えを知っておくことが重要です。
都市部での雪害による想定被害
都市部では豪雪および特別豪雪地帯よりも降雪量は少ないため「雪害の影響はあまりない」と考える方も多いかもしれません。雪に慣れていない都市部では、以下のような被害が想定されます。
- 歩行時の転倒による怪我
- 雪道運転での事故および立ち往生
- 交通機関の麻痺による足止め
- 流通の停止による物資不足
- 電線の切断による停電
- 水道管の凍結による断水
これらの雪害への対策として、やっておくべき備えや準備しておきたい防災グッズを次に紹介します。
都市部での雪害への必要な備えと防災グッズ
普段雪が降らない地域で雪が降る可能性があるときに、準備しておきたい備えを防災グッズとともに解説します。
雪に関する最新情報を入手する
住んでいる地域が大雪に見舞われる可能性がある場合、数日前から情報が発表されます。テレビやラジオ、インターネットなどから最新の気象情報や道路情報を入手し、雪害への備えをはじめましょう。
インターネット上では、以下のサイトから最新の気象情報や道路情報が入手できます。
今後の雪(降雪短期間予報)|気象庁
気象情報|気象庁
日本道路交通情報センター
転倒防止のための装備と歩き方を身に付けておく
雪が降ったあとは路面が非常に滑りやすくなります。歩行時の転倒や怪我を防ぐための移動方法のコツを、以下にまとめました。
- 歩幅を小さくしてそろそろ歩く(ペンギン歩き)
- ツルツルした路面の歩行時は、体の重心をやや前におき、できるだけ靴の裏全体を路面につけて歩く
- 転倒時地面に手をつけるように、ポケットから両手を出しておく
- 屋根や木の上から解けた雪が降ってくることがあるので、足元だけでなく頭上にも気を付ける
- 飲酒をした状態で歩かない
- 走らない
- 自転車は使わない
雪道や凍結した路面を歩くときの装備として、以下を準備しておきましょう。
- 雪用の滑りにくい靴
- 手袋や帽子(転倒時の怪我予防)
不要不急の外出を避け、備蓄をしておく
雪害が発生しそうな場合、交通網の麻痺や車での立往生が予測されます。不要不急の外出は避けるようにしましょう。
雪により物流やライフラインが停止する可能性も高いです。以下の自宅避難用の防災グッズを最低3日分準備しておきましょう。
- 水
- 食料
- 懐中電灯
- 防災ラジオ
- モバイルバッテリー
- ガスコンロ
- 防寒具(カイロ、湯たんぽ、灯油ストーブなど)
- 除雪用具(すべりにくい靴、スコップ)
- 災害用トイレ
自宅避難用で準備しておくべき防災グッズの種類や量については、以下の記事で詳しく解説しています。
防災グッズに絶対必要なものを自宅避難・持ち出し避難に分けて解説
雪による自宅避難では、寒さ対策としての防寒具や最低限の除雪をするための除雪用具も必要です。普段使用している電気やガスを熱源とする暖房器具は、ライフラインが止まると使用できません。電気やガス以外を熱源とする暖房器具や防寒具も準備しておきましょう。
雪害による自宅避難時、水や食料といった備蓄はするものの、意外と忘れられてしまうのがトイレの対策です。雪害は水道が止まる可能性もあるため、当然トイレも使えなくなります。自然現象である排泄は当然我慢できませんし、排泄物は適切に処理しないと自宅が不衛生な環境になり、感染症を引き起こす可能性も高いです。かならず最低3日分の災害用トイレを準備しておきましょう。
雪害での自宅避難用備蓄におすすめの災害用トイレが「マイレット」です。便座などに排便袋をセットして用を足し、抗菌性凝固剤をふりかけ固め、袋をしっかりと結ぶだけの3ステップで、はじめてでも簡単に使用できます。10回分の「マイレットmini-10」や100回分の「マイレットS-100」を展開し、100回分なら家族4人分5日間(4人×1日5回×5日間)の備蓄に相当します。
雪道での運転は慎重に、車内備蓄もしておく
やむを得ず雪道を車で走行する場合、雪道や路面の凍結によるスリップ、視界不良などが発生します。以下のポイントを踏まえて、安全運転を心がけましょう。
- 事前に気象情報と道路情報を確認する
- 車両の点検整備を事前に行う
- スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを早期装着しておく
- ライトをつけ、道路状況に応じた無理のない運転をする
- 暴風雪や地吹雪、ホワイトアウトなど運転時危険を感じたら早期に道の駅やガソリンスタンド、コンビニエンスストアで天気の回復を待つ
万が一立ち往生した場合は、以下の対応をしましょう。
- JAFなどのロードサービスや近くの人家などに早期に救助依頼する
- ハザードランプの点灯や停止表示板を置くなど、車が目立つようにする
- 避難できる場所や救助を求められる人家がない場合は、消防(119番)や警察(110番)に連絡する
- 車両内で救助を待つ場合、マフラーの定期的除雪や適切な換気をして一酸化炭素中毒を防止する
- やむを得ず車を離れる場合には、ドアをロックせずキーを車内の分かりやすい場所に残す
大雪や吹きだまりなどで車が立ち往生した時は、JAFなどのロードサービスや近くの人家などに必ず救助を依頼してください。また、ハザードランプの点灯や停止表示板を置くなど、車が目立つようにしてください。
立ち往生で長時間車内避難が必要になることを想定し、車内に以下の備蓄をしておきましょう。
- 防寒着
- 長靴
- 手袋
- カイロ
- スコップ
- 牽引ロープ
- 毛布
- 飲料水
- 非常食
- 災害用トイレ
まとめ
都市部で発生する雪害の影響や備え、防災グッズを紹介しました。特に雪に慣れていない地域では、少量の雪でも大混乱を起こす危険性があります。お住まいの場所に雪の予報が出たら、最新の情報をチェックしつつ必要な備えを進めておきましょう。