企業・団体向けとして乾電池では対応できない場合の電源確保の方法をご紹介します。ここではパソコンやスマートフォン、一部の照明や機器の利用といった小規模な電力を想定しています。停電対策の一つとしてご参考になれば幸いです。
・発電機(持ち運び可能なタイプ)
一般的な電源確保方法です。発電機本体の購入の他、燃料(主にガソリン)とエンジンオイルの確保が必要です。さらに、排気ガス対策として屋外利用となるため、電力を引き込むためのコードリール(屋外用の延長ケーブル)も必要です。
※2018年9月の北海道胆振地方での地震でも、建物内で発電機を利用したため死者が出ています。
・ハイブリッド車
ハイブリッド車を電源として利用する方法が注目されています。元々は走行中の運動エネルギーを減速時に発電に使い、一旦バッテリーに蓄え加速等に再利用するハイブリッド車ですが、別のメリットもあります。走行せずにエンジンの力で電力を供給する事も可能です。(車種によりアダプターやインバーターが必要です)
2018年9月の北海道胆振地方での地震では、一部のコンビニで事前に用意していたインバーターをハイブリッド車に接続しレジを稼働させた事例がニュースにもなっていました。(さらにガソリン切れも想定し、バッテリー駆動の小型会計端末も用意されていた店舗もあるとか・・・)最近は標準仕様でコンセント付の車も出ていますので、ハイブリッド車などにお乗りの方は確認してみてはいかがでしょうか?
当たり前のことですが、発電機代わりになるハイブリッド車もガソリンが無くては役に立ちません。社用車や公用車の給油ルールを定め、ガス欠ギリギリまで乗ることは極力やめましょう。(東日本大震災でのガソリン不足を受けて、ある自治体では「ガソリン残量が●目盛りを下回ったら返却前に給油する」というルールに改めたそうです。)
ガソリンの扱いについては下記のWebサイトもご覧ください。
http://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000232532.html(大阪市 消防局)
災害時に給油できる「災害対応型給油所」が紹介されています。
※他にもガソリンスタンドのブランド事に紹介されている場合もあります。
また、発電用エンジンを積んだ電気自動車も製品化されていますが「外部に電力を供給できるか」「どの程度の容量まで可能か」といった点をメーカーや販売店に必ず確認してください。
今回はハイブリッド車を中心にご紹介していますが、一般的な乗用車でもシガーソケット等に社外品のインバーターを接続するとコンセントが利用できるようになります。
・蓄電池
近年、急速に普及している停電対策用品です。大まかに2種類あります。
①普段は充電した状態で保管しておき、必要なときに機器を接続するタイプ
(スマートフォン用のモバイルバッテリーの大型版をご想像ください)
②コンセントと機器(パソコン等)の間に普段から接続しておき、停電時は自動で電力を供給するタイプ。
①はレジャー用でも販売されているので価格も下がってきており、屋外で機器を利用する機会の多い企業では事務用品として購入しているケースも見られます。(先日もイベント会場でNEXCOさんがパソコンや小型プリンターを動かしていました)
②は性能や容量により価格が異なりますので利用目的に合わせてお見積りといったところです。高性能なモデルですと小規模な病院、介護施設等で機器を動かすこともできますので発電機よりも優れていると好評です。
①②どちらもデメリットは停電が長期化した場合のバッテリー切れです。念には念をいれて、再充電の手段(発電機やハイブリッド車等)をご準備ください。
また、規模が大きくなりますが、ソーラー発電設備と電力を蓄える蓄電設備があれば、蓄えた電力を使って一時的に停電を回避する事ができます。この場合、停電に対応した制御機器や配線が必要です。停電時の切替えが自動か手動かによって運用方法も異なります。
このように停電対策も多様化しています。便利になった反面、事前の準備や訓練を疎かにしていると、いざという時に役に立たないといった事態も想定されます。上記の機器や設備をお持ちの場合はこの機会にぜひ点検や対応マニュアルの再確認をおすすめします。
※工場等で大電力を必要とする場合は非常用の自家発電設備をご検討ください。