竜巻の被害から身を守ろう!竜巻注意情報や発生の前触れ、やっておくべき備えを防災士が解説

竜巻注意情報や発生の前触れ、やっておくべき備えを防災士が解説

夏から秋にかけて発生する風水害のひとつが、竜巻を含む「突風」です。急激に天候が変化する日も多いため、竜巻注意情報や発生の前触れを知っておくことで、適切な行動につながります。今回の記事では、竜巻の被害から身を守るために覚えておきたい、竜巻注意情報についてや日頃からやっておくべき備えについて解説します。
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竜巻は「突風」に該当する風水害

竜巻は風水害では「突風」に該当し、報道等では「竜巻等の突風」と表記されます。突風とは、大気の状態が不安定となることにより発生する突発性の強風です。突風に該当する、竜巻とダウンバースト、ガストフロントについて順に解説します。

竜巻とは

竜巻とは、積乱雲にともなう強い上昇気流によって発生する激しい渦巻きのことです。上空には漏斗状や柱状の雲をともなっています。被害域は、幅数10~数100mで、長さ数kmの範囲に集中する傾向があるものの、数10kmに達することもあります。

ダウンバーストとは

ダウンバーストは積乱雲から発生する強い下降気流が、地表に衝突して水平に吹き出すことで発生する空気の流れです。同時に激しい雨や雹(ひょう)をともなうこともあります。吹き出しの広がりは数100m〜10km程度で、被害地域は円形あるいは楕円形など面的に広がるのが特徴です。

ガストフロントとは

ガストフロントとは、乱雲の下で形成された冷たい(重い)空気の塊が、重みにより温かい(軽い)空気の側に流れ出すことによって発生する減少です。水平の広がりは竜巻やダウンバーストより大きく、数10km以上に達することもあります。

近年の竜巻等の突風による被害

昭和36年以降に発生した竜巻等の突風の内、特に被害が大きかったものを以下にまとめました。

日付 発生場所 おもな被害
平成11年9月24日 愛知県豊橋市 負傷者415名

全壊40棟、半壊309棟

平成18年9月11日 宮崎県延岡市 死者3名、負傷者143名

全壊79棟、半壊348棟

平成18年11月7日 北海道佐呂間町 死者9名、負傷者31名

全壊7棟、半壊7棟

平成21年7月19日 岡山県美作市 負傷者2名

全壊2棟、一部損壊71棟

自動車が100メートル近く吹き飛ばされるなど

平成23年11月18日 鹿児島県徳之島町 死者3名

全壊1棟

平成24年5月6日 茨城県、栃木県、福島県の広い範囲で複数の竜巻が発生 死者1名、負傷者37名

全壊76棟、半壊158棟

(茨城県常総市の竜巻)

平成25年9月2日 北海道佐呂間町 負傷者76名

全壊32棟、半壊215棟

参考:気象庁_「竜巻」による災害

竜巻などの突風が予想されるときに発表される気象情報と取るべき行動

竜巻などの激しい突風が予想される場合、気象庁より時間経過および突風の発生可能性に応じて段階的に気象情報が発表されます。気象情報は、気象庁ホームページや各メディアの情報アプリなどで入手可能です。 各段階での気象情報について解説します。

予告的な気象情報

気象庁では、発達した低気圧などにより大雨などによる災害が予想される場合、通常半日~1日程度前に、予告的な気象情報を発表します。竜巻などの激しい突風が予想されるときには、予告的な気象情報時に「竜巻などの激しい突風に注意」という言葉で特段の注意を呼びかけます。 竜巻などの激しい突風が半日〜1日程度後に予想される場合、今後の気象情報に注意しつつ危険回避行動や避難などを必要に応じて検討しましょう。

雷注意報

「雷注意報」は、積乱雲にともなう激しい現象(落雷・ひょう・急な強雨・突風)に対して注意を呼びかける情報です。このとき竜巻などの激しい突風が予想される場合には、数時間前に「竜巻」を明記しています。

雷注意情報で竜巻が明記されている場合、数時間以内に竜巻などの突風が発生する可能性が高いです。最新の気象情報や周囲の状況の変化に注意しつつ、安全対策を取りましょう。安全対策に時間がかかってしまう場合、もしものときの危険回避行動も検討します。危険回避行動については後ほど解説します。

竜巻注意情報

気象庁では、平成22年5月より竜巻やダウンバーストなどの激しい突風の発生可能性を予防する「竜巻発生確度ナウキャスト」を常時10分毎に発表しています。発生確度1や2は、「竜巻などの激しい突風が今にも発生しやすい気象状況になっている」という意味です。

竜巻発生確度ナウキャストで発生確度2が現れた県を対象に、または目撃情報が得られて竜巻等が発生するおそれが高まったと判断した場合には「竜巻注意情報」が発表されます。発表から1時間程度は竜巻などの激しい突風に対する注意が必要です。竜巻注意情報と竜巻発生確度ナウキャストは併用することで、竜巻が発生する可能性の高い地域の絞り込みやスピードの速い状況の変化の把握ができます。

竜巻注意情報が発表された場合、対象地域にすでに積乱雲などが発生しており、竜巻などが発生しやすい気象状況となっています。1時間後の気象予測も活用しつつ、安全確保のための行動を行いましょう。

参考:気象庁_段階的に発表する気象情報の利用

竜巻が起きる前兆と危険回避行動、事前にすべき備え

竜巻が起きる前兆と危険回避行動、事前にすべき備え 外出先などで気象情報が急に入手できないときや、天候の急変などにより竜巻の発生確率が高まったときでも、竜巻が起きる前兆や危険回避行動を覚えておくことで自分や家族の身を守ることができます。 竜巻が起きる前兆と危険回避行動、さらに日頃から行っておくべき備えについて解説します。

竜巻発生の前兆

竜巻が発生する前兆には、以下のような現象が起きます。

  • 青空から一転して、真っ黒な雲が近づき、周囲が急に暗くなる
  • 雷鳴が聞こえたり、雷光がみえたりする
  • 急に冷たい風が吹いてくる
  • 大粒の雨や雹が降り出す
  • ゴーという音が聞こえる
  • 気圧の変化で耳に異常を感じる

竜巻発生の可能性が高まっているときの危険回避行動

竜巻の前兆があるとき、または竜巻発生の可能性があるときには、強い風により物が飛んできたり、電柱や木が倒れてきたりする可能性があります。身を守るための以下の危険回避行動を取りましょう。

屋内にいるとき 屋外にいるとき
・窓は閉めておく

・窓から離れる

・カーテンを引く

・雨戸・シャッターを閉める

・地下室や建物の最下階に移動する

・家の中心部に近い、窓のない部屋に移動する

・部屋の隅・ドア・外壁から離れる

・頑丈な机の下に入り、両腕で頭と首を守る

・近くの頑丈な建物に避難する(車庫・物置・プレハブは不可)

・適当な避難場所が見つからない場合は、近くの水路やくぼみに身をふせ、両腕で頭と首を守る

・橋や陸橋の下に行かない

・飛来物に注意する

竜巻等の災害に対して日頃行っておきたい備え

竜巻等の突風が発生する可能性が高まっているとき、または竜巻による被害を受けたときには、安全な場所への避難やライフラインが寸断された状態での在宅避難を余儀なくされる可能性があります。 日頃から持ち出し避難や在宅避難への備えをしておきましょう。備蓄すべきアイテムや数量などは、以下の記事でくわしく解説しています。

個人向け防災用品・防災グッズを災害別に防災士が解説します

防災グッズに絶対必要なものを自宅避難・持ち出し避難に分けて解説

まとめ

竜巻等の突風についてと発表される気象情報、発生する前触れや取るべき行動について解説しました。夏から秋にかけては天候が変化しやすく、竜巻等も発生しやすくなっています。取るべき行動を理解しておくことと、日頃からの備えをしておきましょう。

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