梅雨の時期に到来する「梅雨前線」とともに、季節の変わり目に到来する停滞前線に「秋雨前線」があります。秋雨前線は毎年8月下旬から10月にかけて発生しやすく、時には甚大な災害を引き起こすことも。秋雨前線発生時期に向けて、日頃の備えをしておくことが重要です。本記事では、秋雨前線の概要や梅雨前線との違いとともに、秋雨前線がもたらす災害、やっておくべき備えについて解説します。
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Contents
秋雨前線とは?梅雨前線との違いとともに解説
まずは秋雨前線の特徴や梅雨前線との違いについて解説します。
前線とは
前線とは、暖かい空気や冷たい空気(気団)の境目が地表面で接触することで発生する線のことです。前線のなかでも暖気と寒気の勢力が同じくらい、かつ位置がほとんど動かないものは停滞前線と呼ばれています。
日本では停滞前線は季節の変わり目に多く発生し、梅雨前線と秋雨前線ともに停滞前線に該当します。
秋雨前線とは
秋雨前線とは、夏から秋にかけて(8月下旬〜10月)に発生する停滞前線のことです。季節の変わり目に北から乾いた冷たい空気が入って勢力を広げ、太平洋高気圧が南下する際に発生します。そのため、秋雨前線は時間の経過とともに南下していくのが特徴です。
秋雨前線が発生すると、冷たく乾いた空気の入る東日本や北日本の雨量が多くなる傾向にあります。秋雨前線は、しとしとと長く続く雨をもたらすのが特徴です。
秋雨前線と梅雨前線の違い
梅雨前線とは、7月上旬〜下旬の梅雨の時期に発生する停滞前線のことです。太平洋高気圧が勢力を強める際に発生するため、秋雨前線が日本付近を南下していくのに対して、梅雨前線は日本付近を北上していきます。
梅雨前線は西日本が大雨になりやすく、北海道には梅雨が発生しません。梅雨前線はザーザーと激しく降る雨をもたらす傾向にあり、近年梅雨前線の発達により河川の氾濫や豪雨などの災害も発生しています。
秋雨前線によって起きる恐れのある災害と近年の傾向
秋雨前線は梅雨前線と比較すると長雨となるものの、雨の強さは弱い傾向にあるため、「大きな災害にはならない」と思っている方もいるかもしれません。実は秋雨前線も大きな災害を引き起こす恐れがあります。
秋雨前線によって発生する可能性のある災害や、近年の傾向について解説します。
秋雨前線による災害とは
秋雨前線は停滞することで限定された地域に大雨をもたらしやすく、さらに台風と重なることで大雨、河川の氾濫といった災害が発生する可能性が高くなります。台風は8月〜9月に発生することが多く、過去秋雨前線と台風がぶつかったことで甚大な被害の出た災害も10月に発生しています。
特に秋雨前線発生時は、同時に台風が発生していないかを注意深く見てみることが重要です。
秋雨前線がもたらした近年の災害
秋雨前線によって発生した近年の災害一覧を以下にまとめました。
時期 | 災害名称 | 特徴・被害 |
2016年
8月16日~8月31日 |
台風第7号、第11号、第9号、第10号及び前線による大雨・暴風 | 東日本から北日本を中心に大雨・暴風
北海道と岩手県で記録的な大雨 |
2017年
9月13日~9月18日 |
台風第18号及び前線による大雨・暴風等 | 南西諸島や西日本、北海道を中心に大雨や暴風 |
2017年
10月21日~10月23日 |
台風第21号及び前線による大雨・暴風等 | 西日本から東日本、東北地方の広い範囲で大雨
全国的に暴風 |
2019年
8月26日~8月29日 |
前線による大雨 | 九州北部地方を中心に記録的な大雨 |
2021年
8月11日~8月19日 |
前線による大雨 | 西日本から東日本の広い範囲で大雨
総降水量が多いところで1200mmを超える |
2024年
9月20日~9月22日 |
低気圧と前線による大雨 | 東北地方から西日本にかけての広い範囲で大雨
特に石川県能登では線状降水帯による猛烈な雨、総降水量は石川県で500mmを超え、平年の9月の月降水量の2倍を上回る地点があるなど、北陸地方や東北地方の日本海側では記録的な大雨 |
秋雨前線による災害への備え
秋雨前線が発生し停滞、または台風とともに発生することで甚大な災害が発生する可能性があることが分かりました。秋雨前線による災害への備えとして、日頃からやっておくべきことや準備について順に解説します。
大雨や暴風に備える
秋雨前線と台風が同時に発生することで、大雨と暴風両方からの被害が懸念されます。大雨と暴風に備えるために、以下の対策を行っておきましょう。
- 屋外の風で飛ばされそうなものを片付ける、または固定する
- 窓や雨戸を閉め、必要に応じて補強する
- 排水溝を掃除しておく
庭やベランダの植木鉢や、勝手口付近にあるゴミ箱などは強い風によって飛ばされる危険性があります。屋内に片付けるか固定するようにしましょう。雨と風により窓ガラスが割れる可能性があるため、雨戸を閉め場合によっては外側から板を打ち付けるなどして補強をしておきます。
排水溝に落ち葉やごみなどが溜まっていると、雨水があふれてしまい屋内への浸水の危険が高まります。日頃から排水溝などはきれいにしておきましょう。
ハザードマップや避難経路を確認しておく
秋雨前線による長雨と台風による雨量が加わることで、大雨による河川の氾濫や、ゆるんだ地盤の土砂崩れなどの危険性が高くなります。海が近くにある地域では、台風による高波や高潮による事故や浸水にも注意が必要です。
大雨による避難情報や土砂災害警戒情報が発表された場合、必要に応じて早めの避難行動を行います。自宅や職場の土砂災害の危険性を示すハザードマップや、避難所や避難場所までの避難経路を日頃から確認しておきましょう。
ハザードマップは自治体で配布されている以外にも、国土交通省が提供する「ハザードマップポータル」も参考にできます。
防災グッズを用意しておく
秋雨前線と台風による大雨や土砂災害により避難をするとき、または自宅で避難生活を続ける場合を想定し、防災グッズや備蓄を行っておきましょう。
避難時に持ち出す非常用持ち出し袋の準備と、在宅避難用の備蓄両方を行います。在宅避難は、大雨や暴風によって電線やガス管、水道管の破損によりライフラインや物流がストップする可能性もあります。自宅で電気、ガス、水道が使えない状態でも過ごせるように、1週間分の備蓄を行っておきましょう。
持ち出し避難、在宅避難用の防災グッズと量については以下の記事でくわしく解説しています。
防災グッズに絶対必要なものを自宅避難・持ち出し避難に分けて解説
特にライフラインが止まってしまったとき、備蓄として忘れがちなのが「トイレ」です。水道が止まれば当然自宅のトイレも使えません。非常用トイレを家族分備蓄しておきましょう。
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まとめ
秋雨前線の概要と梅雨前線との違い、近年の災害の傾向と発生する恐れのある災害、やっておくべき備えを解説しました。秋雨前線は梅雨前線よりも雨量は少ない傾向にあるものの、発生する状況によっては甚大な災害を引き起こす恐れがあります。ほかの災害同様、日頃からの備えをしっかり行っておきましょう。